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ドミトリー・メドヴェジェフの新しいロシア
07:5503/04/2008
 

アンドレー・ヴォヴラ、ロシア・ノーボスチ通信社、政治解説員。

 

5月7日からクレムリンではロシアの大統領執務室に新しい主人、ドミトリー・メドヴェジェフが入室する。国のリーダーが交代する時は、国家政策の一定の変化を伴うことは避けられない。新しい大統領が無条件に前任者に支持され、実質的に前任者の認可を得て自分のポストに就く時ですら変化を伴う。

 

どの人にも、自分の執着や趣向、価値感がある。とにかく、すべてこれらは国家政策の優先順位やアクセントを決める際に現れないことはあり得ない。個人的要素(性格的要素)が何らかの部分で現れるのは避けられない。政権の高官の人事にも優先順位やアクセントに一定の影響を与えるだろう。

 

現時点で、メドヴェジェフ政治で継承性の最も大きい程度は、彼の声明の中から外交にある。ここでは既存路線が継続されるようだ。

 

プーチン政権下のロシアの外交は十分にバランスが取れていた。それはロシアの国益を固く死守することで構築されていた。メドヴェジェフが外交で自分の前任者より国益を守るという意味で固い決意がないと予想するならそれは愚かなことだ。彼からは外交で過度な軟弱性と従順性を期待することは難しい。そのようなことをしたらロシア国民の理解を受けることはないだろう。そしてロシアのビジネス界からも否定的に受け止められるだろう。

 

同時に、ロシアでは国家リーダーは自分の大統領職を遂行するだけでなく、基礎的な歴史的使命を実現することも理解する必要がある。ロシアの最初の大統領ボリス・エリツィンには彼の使命があった。2番目の大統領ウラジミール・プーチンには別の使命があった。3番目の大統領ドミトリー・メドヴェジェフにも自分の固有の使命がある。

 

1人は共産主義の過去から残ったゴミを払い去った。次の人は堅固で信頼できる骨組みを作った。そしてプーチンは自分の後継者に、彼自身が時間的に作るのに間に合わなかったこと、あるいは最後まで作れなかったことを作る能力がある人間を据えた。

 

3番目の大統領の課題は家の「改修」だ。メドヴェジェフには、我々の生活全般を質の高い方向に導くことに集中する4年間が控えている。

 

メドヴェジェフは、国家政策の新しい重要なヴェクトル(方向性)を表明した。そうだ、我々の市民は、早晩、世界の主要経済国の5番目に入ることになるロシアの経済成長に誇りを持っている。しかしこれと共に、多くの人はこの経済発展と経済の成長の結果、繁栄する国家と貧しい市民が誕生した。しかしこの矛盾に当然市民は満足しておらず、最終的には、国家そのものにとっても害となり危険になりえる。この状況は、前回のインドの総選挙からある意味でインドに似ている。

 

国内政策の中でメドヴェジェフは生活の質の本質的な向上を表明した。彼が第一副首相として責任を持っていた社会部門全般が優先的国家政策になる。莫大な資金が保健、教育に投じられている。国家の巨大な住宅公共設備全般の改築作業が積極的に行なわれている。その向上が国家の食糧保障の問題を解決するだけでなく食料輸入からの依存度を下げる農業分野にも巨額の資金が割り充てられている。重要なことは、彼は、ロシアではその割合いが非常に高い農家の生活の本質的改善を促進していることだ。国がエネルギー資源の輸出から巨額の資金を入手し、多くの市民が生活の質においては昨世紀の中葉のレヴェル、つまりインターネットの概念もなく、場所によっては村に電話回線すらなく、医療や教育センターから遠く離れていたレヴェルにいる状況は許し難い。このことはメドヴェジェフは、断固たる口調で語っている。

 

メドヴェジェフには、彼の前任者がすでに以前から語っていたこと、国家を革新路線に転換させること、を行なうことが課題として控えている。もちろん、あれほど多くの人が気に入っていた用語「エネルギー大国」は美しく響く。しかし、その向こうには、原料依存国家、最新のハイテク生産の発展を犠牲にして採掘企業だけが超利益を出して発展する国家の姿がある。メドヴェジェフの前に控えている課題は、この歪みを修正し、国家が我々国民を労働の手足としてではなく国民の教育や創造のポテンシャルをもっと上手く引き出すようにすることだ。

 

このことに関連して、ロシアの新しい大統領は、ロシアに歴史的に形成された権利を求めることに対してのニヒリズム(虚無主義)の克服、革新分野や民間投資に刺激を与えるために行政的障害や税制上の負担の大胆な軽減、そして強力か自立力を持った金融制度の構築の改善の必要性を表明した。すべてこれらは、新しい質のロシア経済の確立への道において重要なステップだ。

 

そして最後は、すべての人が、大統領選の前夜と直後の演説の中でメドヴェジェフは自分は自由と民主主義の側に立つ固い味方であるとの表明に注目したことを挙げたい。最近、ロシアを、民主主義の基本的原則から外れているとして非難されることがよくある。しかし、これは、経済的に弱かったロシアが世界経済の冷酷な競争の中で闘わざるを得なかったために生まれた世界の主要国家間の、ある意味当然の、地政学的矛盾の結果であるに過ぎない。(ロシアは今、世界の主要国家の中に戻ってきたが)。

 

ロシアの状況はインドに似ていると上述したが、インドの民主主義も新しいロシアの民主主義も、その国の民族的独自性、伝統、や歴史の発展の独自性、その国の国民のメンタリティーから出発しなければならないし、またそうなるだろう。すべてをすでに設定された基準(西側あるいは東側の見本から出発している規準)と照らし合わせる試みはどのような試みであろうと何も良い結果はもたらさないであろう。国家間や民族間の相互理解にも繋がらないし、民主主義の道に立ち始めたそれぞれ個々の国で実現されている基礎的な民主主義の原理を成功裏に発展させることを支援することにもならないだろう。

 

ドミトリー・メドヴェジェフは、我々に自由が多くあればあるほど、国や国民にとって良くなると明確に表明した。これは、新大統領が自分の政策を立案する基礎的原理である。

 

私は、これは我々全員にとって、さらにはロシアの外国のパートナーにとっても極めて振り立たせてくれる原理だと思う。