7日ロシアのメドベージェフ第1副首相は新大統領に就任した。新大統領は同日、プーチン前大統領を首相に指名した。ロシア政治専門家が「メドヴェージェフ大統領の外交路線どうなるでしょうか」という質問に次のように答えている。
袴田茂樹、青山学院大学国際政治経済学部教授
『基本的には次のプーチンの外交路線の基本姿勢を継続する。すなわち
1 ロシアの国益を守ることを外交の最重要課題とする。
2 国際社会で大国としての地位をさらに確固たるものとして強化する。つまり、国際社会における重要な問題は、ロシアの立場、意思を無視して決定されることがない状況をつくる。
3 対日政策も基本的にはプーチンの路線を継続する。つまり、経済関係の強化を第1に優先する。平和条約問題は無視はしないが、その解決は急ぐことはなく、今後の課題とする。
リベラルといわれるメドベジェフが、西側に対して独自の「柔軟な」政策を打ち出す可能性があるか。
1 就任後しばらくは、プーチン路線の継続性を重視し、メドヴェージェフの独自色を急いで出すことはない。
2 就任後しばらくは、シロビキなどから「西側への姿勢が弱腰だ」と非難されるのを避けるため、かえって強気の姿勢を示す可能性も否定できない。
3 将来、彼が大統領としての権威と自信を確立すると、西側とは政治的、軍事的に、緊張関係よりも協力関係を重視するだろう。
4 中国との実務的な関係は重視する。ただ、経済その他の面ですでに生じているロシアと中国の間の矛盾や摩擦は今後深まる可能性がある』
下斗米伸夫、法政大学法学部教授
『もちろん、メドベージェフ氏が大統領になり、新しい政府ができてみないとわかりませんが、
メドベージェフ・プーチン氏によるタンデムが機能する以上、相当程度の継続性が予想されると思います。
理由の第1は、プーチン時代からこの二人が共同してきたこと、第二は、ロシア外交にとって鍵となる欧米や中東との関係は、もちろん米国での新指導部がどうなるかによってかなり変わりますが、米国は内向きになり、また経済力が低下するでしょう。
ウクライナや旧東ヨーロッパとの関係を含め、問題はより複雑化するからでもあります。この枠でリベラルで知られるメドベージェフ氏は西側との関係改善、特に英国との関係を指向するでしょう。
東アジアの関係でも、北朝鮮との関係で韓国や、日本とのよりいっそうの関係改善がこの傾向自体はプーチン政権後期から始まっていたとしても、加速されるのではないかと期待します』
畔蒜泰助、東京財団リサーチ・フェロー
『8年前のプーチン大統領がそうだったように、メドベージェフ新大統領の外交手腕は未知数である。
ただ当時と違うのは、プーチン大統領が、最もタフなアメリカとの関係で、今後の米露関係を方向付ける戦略的枠組み文書を残している事。
メドベージェフ新大統領も、プーチン大統領が残したこの遺産を継承していくのは間違いないだろう』