経済発展貿易省の評価によれば、ロシアの旅行産業が国内GDPに占める割合は1,5%を越えない。そして、関連産業を含めれば5%に近づくとしている。因みに、ヨーロッパ諸国の同様のデータはそれぞれ5%と16%に達している。しかし、ロシア政府は、2016年までには、ロシアへの旅行者の流れは現在の300万人から900万人に増えると確信している。従い経済のこのセクターの割合も増えるとだろうとしている。関連産業を含めれば、約10%に達するとしている。ロシア連邦閣僚会議のある最近の会議でこの旨表明された。つまり、ロシアの旅行産業は、規模が、例えば、祖国の機械製作産業や冶金工業の業績に匹敵する規模になるということだ。
しかしながら、旅行産業のこのような際立った動きは突然起きたわけではない。政府の見解では、ロシアには、旅行者を引き付ける可能性のある地域が7つあるとしている。それは、ブリャート共和国、アルタイ共和国、イルクーツク州、カリーニングラード州、アルタイ地方、クラスノダル地方、そして、スタヴロポリ地方である。これらの地方には、連邦予算から15億ドル以上の額の旅行専門のインフラ整備が施されることになっている。これらの地域で旅行活動が発展すれば、全部で3250億ルーブル以上を誘致できるため、当地には近代的な旅行設備が誕生するはずと政府は期待している。
これらの地方の旅行の発展のための手段として、政府は、経済特区地域(旅行特区)のメカニズムを導入した。政府では、ビジネスを遂行する条件に特別な利点を設け、これらの地域に更なる関連の投資資源を引き込むことも期待できるだろうとしている。
アルタイでは、政府は、風景の特殊性を最大限に利用することを考えている。ここには、嵐のように急流の山岳河川があり、アヴァンチュール水上スポーツの愛好家を引き付けるだろう。そして、傾斜を利用した山岳スキーにも適している。政府役人の意見では、アルタイは乗馬旅行や生態系の観察を堪能したい愛好家にとって魅力的な場所になるだろうとしている。隣の、世界最大級の湖であるバイカル湖岸に位置するイルクーツク州とブリャート共和国では、山スキー用コース、水中公園、レストランを建設する計画がある。ロシアの旅行者とヨーロッパからの旅行者は、然るべき設備を施せば、この、現在まで、殆ど人が住んでいないこの地の美しさを堪能できる。ここには、ビジネス用旅行産業も発展させる計画がある。
重要なことは、政府の計画に中にロシアの全く異なる地域で旅行業を発展させることである。選ばれた上述の地域には、人気のあるカフカスや温暖気候の愛好者にとって最高のロシア西部のカリーニングラード州があるだけでない。ロシア人にとっても珍しい異国情緒豊かなシベリアの南部と東部がある。具体的なビジネスプロジェクトがすでに立ち上がっており、これらのすべての潜在的に旅行者にとって魅力的な場所を統合させている。
もちろん、旅行分野の予算配分スキームの中に政府が選んだ地域の全てが展望が一様であるわけはない。ロシア最古に古い保養地があるクラスダル地方とスタヴロポリ地方だけが、問題がないようである。ここには数十万人のロシア人が夏には暖かい海を求めて、冬には山スキーを満喫するためやって来る。さらに、一年中ここには鉱泉治療センターが開設している。この場合、政府の目的は明確である。サービス水準の向上である。カリーニングラード州の旅行特区の設立も将来性に富んでいる。しかし、シベリア地方が外国人旅行者にとって魅力的になるかどうかは明確には言えない。シベリアはあまりに遠過ぎ、まだ未開地に映るからだ。しかしながら、ロシアの東部はヨーロッパにとって非常に遠いかも知れないが、ロシア人にとっては、逆に、ロシア東部は十分に魅力的な場所なのである。サービスをある程度の水準にすれば、ロシア人はヨーロッパの山スキーコースよりも自国のシベリアのコースを選択するかも知れない。
若干の懸念材料になっている側面もある。ロシアの旅行特区が順調に発展するかどうかは、これらに地域でビジネスを遂行する条件に実際上どれほどの有利な特典があるのかということだ。もちろん、旅行特区はロシアにとってニュースではない。しかし現在、国家は、最初から、旅行特区組織者に厳しい条件を設定し、それを守るよう要求している。さらに、近代的な旅行特区は明確な投資プロジェクトに合わせて形成される必要がある。それにも拘わらず、経済発展省の評価では、旅行特区でのビジネスは30%以上の節約にならなければならないとしている。すでに必要な法的基盤はすべて整っていて、ロシアの旅行業発展に資金投資する用意のある起業家も現れた。しかしながら、政府が自分の立てた企画をすべて実現できるかどうかという質問に答えを出すのは今は無理だ。起業家が実際にビジネスを現場で始めてみて遭遇する条件が現実にはどのようなものであるに掛かっている。
しかしながら、経済産業発展省の役人は、見るところ、十分に楽観的にようだ。政府会議で経済発展貿易相ゲルマン・グレフは、講じられた手段はほんの始まったばかりだ。これらの地域では予算配分のスキームが作成された。その後、2年後、さらにもう一つの競争が行なわれ、旅行特区の数は増えることになると表明した。