アンドレイ・ヴァヴラ、ロシア・ノーボスチ通信社政治解説員。
予想者に屈辱を遭わせること、ウラジミール・ウラジーミロヴィッチ・プーチンの趣味だ。従い、アナリストは新しい内閣で如何なる人事変化が起こるかを当てようと努力したが彼らの予想はまたしても当らなかった。
ソビャニンは大統領府の長に残るだろうと思われた。しかし彼は政権の連邦機関の間の全権の境界を分ける省の指揮者に配置された。保健及び社会発展省は分割されると思われたが、ここではすべて何の変化もなかった。外務省の長、セルゲイ・ラヴロフは継続しないと思われたがここでも間違いがあった。さらに他にも多くの予想があったが多くは外れた。
政府の中に2人の第一副首相を設けることは変わらなかったが、人間は変わる。最初の発表は、イーゴリ・シュヴァロフ(前大統領補佐官)が貿易と調整、ロシアのWTO(世界貿易機関)加盟問題の調整と交渉の国家政策、さらに、国家所有、独占禁止政策そして競争力の向上を所管するだろうとの発表だった。ところが、最近確認された公式情報源からの情報によると、シュヴァロフは経済社会問題全般と外国貿易関係を所管する省の大臣になるとのことだ。ヴィクトル・ズプコフ(前首相)には、農業の国家プロジェクトの実現、漁業と林業、農産業の分野の国家政策の立案と実現を担当する省が割り当てられた。実を言えば、かつて彼は農業を担当していたことがあり、今再びここに戻ってきたわけだが、今度は別の立場で担当する。
見方によれば、シュヴァロフの義務の環には、彼の同僚ズプコフよりも計り知れないほど広く意義深い仕事があると思われる。つまり、第一副首相が2人でも、1人は他の1人よりはるかに重くはるかに「第一的」だ。
社会ブロックは、今回は単に副首相のアレクサンドル・ジュコフに移管された。彼の担当は国家プロジェクト、教育、保健、さらに、手に入り易く快適な居住地の分野の国家政策、文化、芸術、ソチ冬季オリンピック遂行の準備も見据えた体育、スポーツの発展である。
社会ブロックを管理する人たちのピラミッドの基盤の上部に立つのは大臣であり、大臣の上に立つ人が副首相、そして、さらにその上には第一副首相が立つ。社会ブロックには首相も大統領も非常に高い関心を示している。そのことはすべて、今回の新しい内閣では、社会問題は特別な政治意義を持つ仕事であることを物語っている。
先に進むと、セルゲイ・イワノフは、「第一」という付加語が削除されて、単に副首相になった。ナノテクノロジー、これは彼の元には残っているのだろうか? あるいは、今はナノテクは社会問題と同様に、政権の中で自分をPRするための現実的効果は失ってしまったのだろうか?
エネルギーはフリスチェンコから奪われ、「アトムストロイエクスポート」の元社長のセルゲイ・シマトコが大臣になった新たに設置されるエネルギー政策省に移管された。
エネルギーの大臣には、「ロスネフチ」の取締役会の会長をしていた当時にこの分野で経験を積んだイーゴリ・セチンが任命された。彼の視界には、さらに、産業政策と(予想によれば、イワノフの所管になるだろうと思われている軍産複合体を除く)、そして、地下資源と環境分野の国家政策も移行することになる。
文化担当の大臣については、プーチンは、背後にあまり多過ぎる汚い庇護者と激しい反対者とが共存するソコロフとシヴィドキーのからどちらを選ぶかの問題は検討しないことを決定し、この分野の新しい大臣には前在仏大使のアレクサンドル・アヴデェイフを任命した。
大統領議定局の前局長イーゴリ・シェゴリェフは、レオニード・レイマンに代わって通信大衆伝達(コミュニケーション)大臣に任命された。大統領全権前代表のアレクサンドル・コノヴァロフ(ドミトリー・メドヴェジェフとは大学及び中等学校時代の同級生)がウラジミール・ウスチノフに代わり法務大臣になった。
最後に、安全保障評議会の新しい書記が登場した。書記には前連邦保安局局長のニコライ・パトルゥシェフが就任した。彼とかつて衝突していたチェルケソフは、連邦麻薬取締局長の職から解かれ、連邦兵器・軍事機材・物質手段(服、物品など)納入局長に任命された。
スポーツ・旅行・若者対策を担当する新しい省が設置され、その長(大臣)にはロシアの元サッカー連盟会長のヴィタリー・ムトコが就任した。
新しい政府構成から「ロスプロム」、「ロストロイ」そして多くの関連下部機関が廃止された。多くの役人が内閣から去ったことで、新しい任命が期待される。任命は行われるだろう。しかし、新しい政権の構造が最終的に明確になるのは、予想の難しい任命が実際に終わってからのことだろう。