「サハリン-2」プロジェクトが裁判所の被告席に座っている。ロシア連邦天然資源有効利用監視局(ロス・プリロド・ナドゾール)は、モスクワのプレスニャ裁判所に訴状を提出した。監視局は、「ピリトゥン・アストフスクとルンスキーのライセンス地区の総合開発の技術経済的根拠資料に関する国家環境専門鑑定委員会が下した結論を承認する」旨の2003年7月15日付けのロシア天然資源省の指令No.600を取り消すことを要求している。これは「サハリン-2」プロジェクトの第2段階に関する要求だ。
訴状の骨子となる資料は、先月8月にロス・プリロド・ナドゾールの掌握下に入った。ロス・プリロド・ナドゾールの副局長のオレグ・ミトヴォーリの説明によると、「ロシア科学アカデミー極東支部の学者は、調査の結果、サハリンの自然条件の複雑さは十分に評価されておらず、現在のパイプライン建設を継続すれば数十の地域の環境を一辺に破壊するか損傷する恐れがあると結論付けたとの報告書を送付してきた」としている。支部の調査官は、さらに、ドリンスク森林ソフホーズの傘下のフィルソフスク地区営林署でのパイプライン敷設はすでに森林環境に直接脅威となる地すべり現象の原因になったことを暴露した。
ロス・プリロド・ナドゾ-ルの訴状には、サハリン-2遂行者は国家環境専門鑑定の勧告も遂行していない事実も記述され、プロジェクトの技術経済根拠とは多くの点で不一致があることも指摘されている。例えば、地域の条件に合致した総合的土壌浸食防止対策も取られていなかった。
本年夏の室内検査の過程で、ロス・プリロド・ナドゾールの調査官は、水利用に関するライセンス条件も未遂行であると指摘した。「モリクパック」採掘田プラットフォームからの汚水排水量が基準値を超過し、排水の中の石油製品の含有量も規準を超えていた。さらに、水利用に関する国家統計報告書が慢性的に遅れて提示されることも指摘された。
列挙された違反リストから判断して、裁判所に提訴される理由は十分過ぎるほどあると言って良い。これは、ロシアの環境保護団体からの「サハリン-2」プロジェクトの推進会社であり投資会社である「サハリン・エネルギー」に対する初めての法廷攻撃ではない。4年前にも、ロシアと外国の50の法律擁護組織からなる連合団体が、「サハリン-2」プロジェクトの第2段階の環境専門鑑定に対し肯定的結論を下した天然資源省に反対し提訴していた。原告側は、国家の黙認により、石油採掘業者の行為がサハリンだけでなく全ての周辺地域に環境惨事の脅威を与えていると見なした。しかし裁判審理は無気力にだらだらと今日まで続いていた。そこへ今回のさらにもう1つの国家の名のものと訴状が出た。
被告について詳細に記述したい。「サハリン・エネルギー」は3つの産業会社、すなわち、オランダのShell(資本保有率50%以上)と「サハリン-1」プロジェクトと共に1996年に有効会社として参入して来た日本の三井物産と三菱商事、に代表される会社で、生産分与協定をベースにしたロシアと外国会社の初めて経験する共同プロジェクトだ。これは、豊富な石油ガス資源の広範な開発のスタートを切るプロジェクトになった。
採掘業者は、ブームの中で多幸感を味わい、環境団体は、そんな中、この地域のオホーツク海の石油ガスプロジェクトの実現によるネガティヴな環境への影響を指摘していた。漁獲高の減少、そして、その策餌場所がほんの近くに位置する貴重品種コククジラの急激な子の減少、が記録されていた。環境法律擁護者は、投資家が、欠陥だらけの論理「我々が帰った後は草も生えなくて良い」という論理を展開し、「他人の地域」で無作法に振舞っていると見なしている。「我々は、サハリンで石油を採掘することに反対はしていない。しかし、この地域にもアラスカの同様のパイプラインの建設の際に講じられたような環境的配慮のあるアプローチが取られるっことを望んでいるのだ」と環境法律家は語る。
ではそのアラスカではどのようだったのだろう?そこでは200億ドルもの費用を掛けて1200kmのパイプラインが建設された。ロシアでは安っぽい提案、900kmの距離があるのに環境を敬う経費が考慮されていない8億5000万ドルの提案が為された。これは、石油パイプラインが、目標物までの最短距離をブルドーザーで掘り、普通の溝にパイプを敷設することを意味した。その結果、1000以上の水設備が貫通されることになるのだ。その中には、魚の太古からの産卵場もある。そこで、ロシアでは、このような環境やさしいケースが産業プロジェクトでなぜ実現しないのだろうか?国庫はすでに環境に消費することが可能になっているはずだ。
ロス・プリロダ・ナドゾールの提訴が依拠している環境の原因は十分に重く、説得力あるものにも拘わらず、外国のマスコミは状況を政治化させようとしている。「ロシア箱侵略的に資源に対する国家管理を推進させている」(日本のマスコミ)。「Royal Dutch
Shellグループはロシアで圧力に遭遇している。Shellはライセンス喪失の脅威に晒されている」(欧州紙)。しかも、結論はまったく特定している。このようにしてロシア政府は自国のエネルギー分野での外国資本の影響を制限しようとしている。
しかし、状況を実利的に分析しなければならない。恐らく、現在、国家は本当にサハリン大陸棚の問題解決に当たり、別のアプローチ、もっと有利な、環境の実体と国家利益に合致したアプローチを持つことを希望しているのかも知れない。90年代の半ばに形成された法体系は、経済危機という条件下で、しかも、低価格の炭化水素資源という状況下で特定された。現在は、資源への見方と国家の財政状態の見方を変える必要がある。とりわけ、環境への見方を変える必要がある。ロシアは、外国人をただ単に働くためではなく、自分の資本を殖やすために来たいと思われる国、そしてそのような国の義務や法律に尊敬を持たれる国になりたく、また信頼あるパータナーシップを獲得したいのである。
「サハリン-2」開発停止?
17:5914/02/2007