ニキータ・ペトロフ、ロシア・ノーヴォスチ通信社に特別寄航。
11月8日、原子力潜水艦、プロジェクトNo.971「Schuka-B(シチュウカと発音しサメという意味)-B」(西側ではAkulaと呼ばれている)、艦番号K-152、艦名「ネルパ」(アザラシという意味)に非常事態が発生した。80メートルの水深で、潜水艦の第1及び第2セクション内で、消火系統が誤って作動し、軍人及び民間専門家20名の犠牲者とフレオンガス中毒者21名を出した。(フレオンはこの系統で酸素を抑えるために使われている)。死亡した20名の内訳は、潜水艦将校3名、及び、潜水艦を製造したコムソモルスク-ナ-アムールにあるアムール造船工場、極東工場「ヴォストーク(東という意味)」、原子力潜水艦が一時的に停泊したボリショイ・カーメニ市(大きな石という意味)の船舶修理工場に所属するエンジニア、技術工、労働者の17名だ。潜水艦間には事故時全部で208人がいた。そのうち81人が潜水艦に配属された定員乗務員だった。
現在、原子力潜水艦内では、モスクワから極東に特別に渡来した軍検察総庁及び海軍及び国防産業参謀本部の専門家から構成される審理委員会が作業をしている。そこには海軍総司令官でウラジミール・ヴィソッツキー大将もいる。今のところ委員会は犠牲者の死因がフレオンガス中毒によるものということだけを発表した。そして、消火系統が誤って作動したという最初の説を承認した。しかし、この系統がなぜ作動してしまったのか?どのようにして誤作動が行ったのか?その系統が作動した場合悲劇的な結果を招くことを知り自分たちの生命と健康を守る能力を持っていなければならない人たちがなぜ防御をしなかったのか?という質問の回答はまだ為されていない。
一体何が消火系統の誤作動を導いてしまったのか?主要原因は最低2つあると考えられる。
1つは、技術的な原因だ。系統自身の調節装置が悪かったことだ。調節装置は、潜水艦内のセクションで煙が発生した場合あるいはセクション内の空気の温度が急激に上がった時に自動的に作動するようになっている。その際、装置は、人々が直ぐに、潜水艦乗務員それぞれが、軍人の階級や職務に関係なく、常時自分の体に取り付けているПДА(防毒マスクに非常に良く似たポータブル呼吸装置)を体に着衣できるように大きな音の信号で、装置が作動したことを知らせるようになっている。
2つ目の原因としては人的要素を挙げることができる。セクション内で誰かが喫煙したか、あるいは、消火装置のセンサーの隣でマッチに火を点けたことも否定できない。ごくわずかの酸素が油のついた古着に接触し、古着を煤けたことも否定できない。原因は、もしかしたら有り余るほどあるかも知れない。すべてを一度に列挙するのは難しい。そのすべての根底には、原子力潜水艦のようなあらゆる点で危険な船舶で、軍事及び労働規律、滞在及び作業規則に対する違反がある。さらに、ずさん、別の言葉で言い換えれば、怠慢が日常化していることが根底にある。
しかし、重要なことは、人々、そして主に防衛産業(潜水艦は工場の航行試験中であり、海軍の編成に採択されていなかった)の作業員だった、の主要死因は、どうやら、ПДАの数が足りなかったことにあったようだ。装置が不足していたことは十分にあり得る。なんとなれば、ポータブル呼吸装置は、通常、70-80人と想定された潜水艦常駐乗組み員にのみ1揃いが割り当てられるからだ。あるいはまた、これらのПДАは、原子力潜水艦の事故時に滞在していたそれぞれの人すべてに、装着用として事前に個々に調整されていなかったことも考えられる。
これらは我々の単なる説であり、入念で、かつ、論理的な認定あるいは論破が要求されることは言うまでもない。これらの作業には現在審理委員会が取り組んでいる。しかし、何かが秘密に残ったままになるのではとの疑念は拭いされない。
そして、これらの疑念は、海軍の総司令官からも彼の公式代表からも、現在まで一度も「被害」潜水艦のクラスや潜水艦の艦番号についての正確な発表が出されていないことからも強くなる。しかし、これらすべて大きな秘密にして置くわけにはいかない。
現在ロシアの造船企業では、独立系専門家とアナリストが潜水艦のうちどの潜水艦が現在工場航行試験を行っているかを推量できないほど多くの潜水艦が建設されているわけではない。特に日本海沖ではそれが言える。これは、紛れもなくK-152という艦番号を持つ唯一の潜水艦であり、1991年から、やっと今アムール造船工場で建設が終了した潜水艦である。
潜水艦に何だか知らないある種の「秘密性」があることは、この潜水艦がインドの海軍からリースで取得希望を受けている潜水艦であることから説明が付く。インドとロシアの高級海軍将官、それに国防産業の代表も加わるが、との本件についての交渉が行なわれて1年以上が経つ。
原子力潜水艦での人々の犠牲を伴う事故が起きた今、潜水艦自体は1つの系統も損傷を受けなかったにも拘らず、この契約は調印されない可能性が出てきた。理由は、試験(このような重大な結果を招いても基本的に避けられない)の最中の事故発生にあるというよりはむしろ潜水艦の価格にある。現在、インドの人は最低線まで価格を下げるようと試みている。このことは彼らは見事に行なう能力がある。しかしロシアから見ればだれもそんなことは必要ない。モスクワでも、コムソモリスク-ナ-アムールでもだ。
K-152の艦番号の下の「サメ-B」の事故は、このような(インドとの交渉という)もう1つの不明瞭な結果をもたらしたと言えるかも知れない。