巨大国営企業「ロス・テクノロジー」が一人立ちする?
08:1025/06/2008

オレグ・ミチャエフ、ロシア・ノーボスチ通信社、経済解説員。

 

ウラジミール・プーチン首相が兵器輸出部門のロシアの国営独占企業「ロス・アバロン・エクスポート」を同じく国営企業の「ロス・テクノロジー」の所有下に移行したことが6月20日に判明した。同時に、政府はやっと約480の他の企業も「ロス・テクノロジー」に譲渡し国家保有する旨のロシア大統領令の原案の打ち合わせをしたことを表明した。これにより、その関心が軍事産業から、自動車製造及び民間航空機に移行する産業モンスターの概要が見えるようになった。

 

「ロス・アバロン・エクスポート」を基礎にしたこのような巨大で、かつ、様々な毛色の分野の構成で設立する計画は、当時の大統領プーチンが大統領令で「ロス・テクノロジー」を設立させた2007年11月に立案された。当初は、「ロス・テクノロジー」には、約250の連邦国営企業(ロシア語表記ФГУП)と専ら軍事産業施設を代表する優先的に国家資本が入っている上場株式会社をあてがう予定だった。

 

「ロス・テクノロジー」には、「ロス・アバロン・エクスポート」以外に、「アバロン・プロム」(実質的にすべてのロシアのヘリコプターを製造している)、「アバロニーチェリヌイ・システム」(空中防空設備と複雑な無線電子設備の製造)、リース会社「アバロン・プロムリーズング」、「AvtoVAZ」(自動車会社)、「VSMPO-AVISMA」(ヴェルフニャヤ・サルダ冶金企業合同、ロシア語表記でВСМПО-Ависма, Верхнесалдинское металлургическое производственное объединение、英語表記で Metal-producing company of Verkhnyaya Salda)、「ルス・スペツ・スターリ」(ロシア特殊鋼メーカー、冶金企業設立の基盤になる会社)、コンツェルン「ヴィソーキエ・テクノロジー P」(高度技術企業P、データベースと情報資源の作成と利用方法のサービスを提供している会社)、「業務用エネルギー供給会社」(電力エネルギーとガスを合同産業会社OPK、ロシア語表記でBПК、に供給している会社)、そして、「P.E.T.クロンシタット」(クロンシタットとはフィンランド湾上にあるレニングラード州の港湾都市でロシア革命の時のクロンシタットの反乱の舞台になった都市、海運、航空及び地上訓練用のソフトウエアと地上模型訓練装置の開発と製造を行っている会社)、がその構成に入って来る。

 

 しかし、「ロス・テクノロジー」の社長セルゲイ・チェメゾフはもっと多くの企業に食指を伸ばしている。結果的に、新しい国営企業、「ロス・テクノロギー」、の所有リストには、噂だが、600企業まで広がるようだ。しかし最終的な編集リストには、財務省と経済発展省の努力で約480企業に削減されたようだ。例えば、国家が「ロス・テクノロジー」に最初に譲渡したのは、2008年3月末の民間国営航空連合「AirUnion」の国家保有株だった。しかし、その時チェメゾフは、「ロス・テクノロジー」に、もっと多くの一連のロシアの民間航空会社の譲渡するよう提案した。このようにして、現在まで、ロシアの旅客輸送市場には、両社とも国営の「アエロフロート」と「ロステクノロジー」の傘下に終結された航空会社グループの2社しか残らなくなる可能性も否定できない。

 

 最近、副首相兼財務相のアレクセイ・クドリンがチェメゾフの構想の中の「ロス・テクノロジー」設立案の厳しい批判者になっている。6月始め、クドリンは、「ロス・テクノロジー」が、国家予算の「横領」を試み、本来「ロス・テクノロジー」に譲渡されるべき連邦の財産を「秘密に私的に利用」しようとしたかどで嫌疑を掛けた。

 

そのようなわけで、「ロス・テクノロジー」に国家が大統領令の企業リストの中でどの企業を所有移転の譲渡対象にするかはまだ不透明のままだ。しかし、すでに「ロス・アバロン・エクスポート」を「ロス・テクノロジー」の構成に譲渡したという事実は、多くの反対者がいるにも拘らず、巨大国営企業設立に向かっての過渡期になっていることは確かだ。