04:42
17/02/2014
 
 
検索
駐日ロシア機関
ロシアのすべて
イベント
ロシア語の講座
読書
観光
ロシア料理
解説
主なニュース
社会
戦勝記念日はロシアの重要祝日
08:1009/05/2008
 

マクシム・クランス、ロシア・ノーボスチ通信社政治解説員。

 

戦勝記念日をロシアのある詩人は「目の前に涙がある祝日」と名付けた。非常に正確で内容深い定義だ。実際、5月9日はロシアで、式典であり、人類の歴史の中で最も血なまぐさい破壊的な戦争、第二次世界大戦、で耐え抜き、勝利した。そして、その中で、根幹的役割を果たしたのは、反ファシスト連合国のうち、敵を殲滅した部隊の数、解放した数の面積、いや、どの1つの指数についても、ロシアと比較的近い数字という意味においても比肩できる国は1国もないだろう。

 

しかし、これは、記念の日であり、同時に、悲嘆の日でもある。なんとなれば、負傷者や不具者にされ、極度に貧した数え切れない軍や、飢えと耐え難い労働からファシストの奴隷に苛まされ前線で戦死した数百万の我々同国人について思い起こす日だからである。この戦争での犠牲者を示す最近の知られた数字として、2700万人、いや、可能性としては、3000万人すら超える数字すら挙げられる。第二次世界大戦が始まるまでの7年間、実質的にヨーロッパにいた中国ですら、このような犠牲は受けなかった。戦争の主要勝利者は、戦争の主要被害者にもなった。

 

その戦争が終了してから63年が経った。しかし、多くのロシア人にとっては、相変わらず、これは歴史的筋書きではなく、本の1章でもなく、映画記録のコマでもなく、それぞれの家族の人生そのものの1部である。戦争は、人々の運命の上を、人々の心の中に永遠の傷と永遠の喪失の悲嘆を残して、タンクキャタピラーで通り過ぎた。だからここに戦争の記憶が国民に、遺伝的なレヴェルで定着し世代から世代へと引き継がれて行くのだ。

 

いや、第二次世界大戦の回顧をこれほど大切にしまって置く国は世界のどこにも恐らくないだろう。第二次世界大戦はロシアでは、ロシア国民が干渉者との過酷な戦争で自国の独立を死守しなければならなかった1812年の解放ロシア-フランス戦争との類似で、大祖国戦争と呼ばれている。

 

それゆえに、国民は多数十年に亘り5月29日に敬意を表し、自国の悲しみを理解している。国民にとってこれは特別の意味のある祝日なのである。そのことを5月9日の前夜に伝統的に行なわれている社会研究調査も証明している。例えば、ロシアでこの種の主導調査機関の1つである全ロ世論調査センター(ロシア語表記ВЦИОМ)のアンケート調査も示している。そのデータによれば、現在のロシア人の約60%が戦争時に自分の肉親や子供、親戚を失っている。5家族に1家族が戦争行為のため故郷を離れなければならなくなった。従い、現在でも、戦争時のこと、当時88%の家族で罹災者あるいは死亡者が出たことを人々が覚えているのは驚くことではない。

 

もちろん、このような体験は、実際に戦場で闘った人、後方で支援した人、あるいは戦時に少年時代を過ごした人など古い世代が主だが、社会学者が確認したところによると、古い世代が若い世代は戦争を理解しておらず、世代間には戦争についての関心の違いが存在するかのようだとよく嘆く。しかしこれは実際には間違っている。戦争のテーマへの関心は若い世代にも大きくある。ВЦИОМの別の調査では、18歳から24歳までの3分の1のロシア人が最近の1年間で大祖国戦争についての本を読み、退役軍人と会談したり、あるいは軍事博物館や記念碑を訪れ、86%が戦争に関する映画を見ている。

 

最近、英雄的戦時過去に関する国民記念の独自の象徴になったのが、「ロシア・ノーボスチ通信社」と青年社会団体「ストゥジェンチェスカヤ・オプシーナ(学生社会)」がその運動の提唱者になっている「ゲオルギー・レントチカ(St.George Ribbon、ゲオルギー・リボン運動)」だ。この運動はすでに4年連続で行なわれ、戦勝記念日の前夜に行動参加者達は、ロシア全土に亘り、自分の自動車のアンテナや、ジャケットやリュクサックや、退役軍人病院のベッド、言って見れば、自分の空想にもとづいて各人が、黒色とオレンジ色が交互に交じり合った帯状のリボンを括り付ける行動である。これは、ロシアとソ連の武勲の賞状に当たる象徴的意義を持つ戦場での兵士の個人的な勇敢を表す色だ。このようにして、これは、我が国の独立を守り、国家をファシストから救った、生き残った人、名前の記録は残っている人、あるいは名もなく死んだ人、への感謝の意を表するものだ。

 

「私は覚えている! 私は誇りに思っている」という言葉をスローガンに展開する「ゲオルギー・リボン」運動は、数百万人の同調者の心を捉えた。昨年は、このリボンは1000万本以上普及した。本年はモスクワだけで、概算であるが、400万本普及した。この運動の始まった当初の参加者はロシア市民だけだったが、現在は他の多くの国からの人が参加している。あるデータによると、本年は、世界のかれこれ50ヶ国が参加している。

「ゲオルギー・リボン」運動の人気と意義については社会世論調査も示している。例えば、「オプシェストヴェンオエ・ムニェーニエ(世論)」基金(ロシア語表記ФОМ)のデータによると、73%、つまり4分の3のロシア人はこの愛国運動の思想を肯定的に評価している。昨年のこの運動への参加者は5人に1人だったが、今年は、「バシキロヴァとパートナー(Bashkirova & Partners)」社の情報によると、アンケート回答者の53%が運動に加わりたいとの意向を示しているとのことだ。

 

戦勝記念日は多くの国で盛大に祝されていることを述べる必要がある。しかし、恐らく、この祝日に本当に全国民的性格を持たせているのはロシアだけ、いやCIS諸国もだが、である。このことは、終戦63年記念を控えて調査会社の「ロミル(Romir)」社が行なったアンケート調査でも証明されている。アンケート調査の質問の回答者の半数以上が5月9日は家族に囲まれ、家や郊外の別荘で、祝祭用テーブルを作り祝いたいと答えている。回答者の4分の1は、この日にはテレビで軍事パレードを見たい意向があると回答した。同数の人は祝砲に参加する意向を示した。そして、7人に1人は様々な式典イヴェントに参加する意向を表明した。

 

このテーマに関する最近の世論調査から雄弁に物語っている数字をさらに2-3紹介しよう。5月9日は、現在でも、92%のロシア人にとって特別な、重要な、意義ある日であり続けていることである(上述のФОМの調査)。そして58%の市民が大祖国戦争を総括すると、ロシアの全歴史において最も大きな勝利であると捉えている。そしてその役割は年月が経っても陰るどころか、逆に、増大するだろうと考えている(ВЦИОМの調査)。

 

ロシア社会が過去の出来事に対し、評価と認識の点で、このような見解の一致を見るのは祖国の歴史において他の何らかのテーマでは殆どなかったと言って良いだろう。