オバマ:キューバの扉を開く
14:4820/04/2009

 

 

アンドレイ・フェヂャーシン、ロシア・ノーヴォスチ通信社、政治解説員。

 

 

アメリカの大統領バラク・オバマは、選挙前の公約を果たした。アメリカのキューバへの政策を変えたのだ。ワシントンは、同島(キューバ)にアメリカ系キューバ人が旅行することに対する制限を撤廃することを表明した。さらに、アメリカのテレビ通信会社には、キューバで、電話通信サービス、インターネット、ケーブル衛星テレビラジオ放送などのライセンスを取得することを許可した。アメリカでは、誰もが、「カストロ兄弟」体制を打倒するよう誘導すべきだと公然と言っている。「島の民主主義と自由の発展を支援してあげるべきだ」などと言う婉曲語法の文言は公式声明文に見られるだけだ。

 

もちろん、アメリカのテレビ通信会社やテレビ放送会社やケーブル会社は、キューバのライセンスの雨の中にすぐに浸ることにはならないと思う。フィデリ・カストルとラウル・カストロが、大量の通信設備(インターナットやIT製品)やドルのような彼らの体制を「爆破」する贅沢品を受け入れることは極めて疑わしい。しかし、カストロ体制が長引くキューバの革命に疲れ、キューバはもはや明らかに行くべきところがないことは承知しているのも事実だ。

 

キューバの禁輸令にはすでに大分前から皆が疲れていることを指摘して置かねばならない。キューバ人は、Patria o Muerte(祖国のために、さもなくば死を選べ)という国家の主要スローガン、の実質的な実現に疲れた。そのスローガンは経済問題と貧困問題から発生したのだが、彼らがこのスローガンに疲れたのは十分に理解できる。ユーロッパ人とカナダ人も疲れた。なぜなら、アメリカは自分ではキューバと貿易をしているにも拘らず他国には禁輸を強いているからだ。キューバのアメリカ系ディアスポロ(国外居住者)も疲れた。なぜなら、40年以上の禁輸はカストロ体制崩壊を近づけたのではなく、何らかの「外敵」が何らかの体制を強化するように、カストロ体制を強化した。アメリカのビジネスは、カナダやスペイン、ドイツ、フランス、オランダそしてロシアの企業が迅速な入国の条件をすでに作り上げていたキューバに進出できずいらいらさせられている。つまり、多くの国がアメリカとキューバの関係には疲れて始めている。

 

禁輸撤廃の方向の中でこの最初のステップに関連して発生している最も大きな問題は、キューバでこれをどのように実現するか、フィデロあるいはラウル・カストロの体制下でこれをどのように実現するかである。フィデロとその弟にとって、このことにより何か得る物があるかと言うと、もちろん何もない。彼らが、「アメリカに」オープンになった島で自分たちの政治体制を長期に維持することができるかは疑わしい。そして、この国の市民自身にもこのアメリカを受け入れる気持が非常に強いことを考えれば尚更疑わしい。

 

ロシアやロシア人とのキューバ人との関係については、両者に非常に良好な関係があるかも知れないが、キューバは、ロシアから素早く遊離し、アメリカに接近するだろう。葉巻タバコ、パイナップル、旅行、ニッケル、クロム、石油ガス開発に及ぶあらゆる経済的関心が向く方向は、北側(アメリカ)なのは当然だろう。

 

 

ついでに言えば、昨週すでに、すべてのアメリカ人のキューバへの旅行制限の全面撤廃する法案が議会に上程された。現段階ではキューバへの旅行に対しては、(キューバ出身者でない)アメリカ市民には10年の禁固刑と7000ドルの罰金支払いが科せられる可能性がある。

 

議員たちは上述の法案に、キューバへの小麦輸出の禁止令を撤廃する条項を加えた。かくして、すべてのことが自由の島を開封する方向に向かっている。キューバは今後どの方向に向かって「泳いで行くか」推測することは、もはや、それほど難しいことではない。