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オリンピックは儲からない?
10:5009/09/2008
 

 

オレグ・ミチャエフ、ロシア・ノーヴォスチ通信社、経済解説員。

 

 

9月5-6日にキスロヴォッツクで、ロシアの大統領ドミトリー・メドヴェジェフが、2014年のソチ・オリンピックの準備に向けた会議を遂行した。現在、ロシアオリンピック組織委員会は、ロシアでの控えているオリンピック遂行のために必要な益々膨大になっている経費の見積もり(現在約15兆ドル)作成で忙しい。しかしすでに現在は以前のオリンピック、とりわけ、終わったばかりの北京オリンピック、の経済効果を見ることは有益なことだろう。中国人は、一方では、希望する数値を達成し、参加国の中で一番多くの金メダルを獲得した。しかし、北京オリンピックは歴史上最も金の掛かったオリンピックで、いつ採算が取れるのかは判らない。さらに、北京オリンピック結果は、中国経済の鈍化を導いた。

 

最も控えめな評価をして見ても、2008年の北京オリンピックは、開催者は400億ドル以上を使った。現在、開催者は、以前の多くのオリンピックの開催者の悲しい運命を避けるために、オリンピックのために建てられた巨大なスポーツ施設をいかに有益にそして利益が出るように利用するかで頭を悩ませている。数々のオリンピックの開催後の状況を見ると、オリンピックのために建てられたスポーツ施設は凋落し、開催者は数百万ドルの借金を抱えている。

 

かつて、1972年のカナダのモントルオールで開催のオリンピックは、約12億ドルという記録的な損失を抱えることになった。この損失を完全に弁済することができたのは、都市と隣接地域の住民が追加納税に応じてくれた2006年になってからだった。約3億ドルの損失は1972年のミュンヘンオリンピックでも蒙ったが、これは西ドイツ政府が完全に償還した。1980年のオリンピックの経済については判断が難しい。経費は単に国家が支払ったからだ。経済的見地から見れば、最も成功したのは、個人スポンサーが付き、可能な部分はすべて節約したお陰で約3億4000万ドルを開催者に還元した1984年のロサンジェルスオリンピックだった。1992年のスペイン、バルセロナオリンピックは少なくとも損失だけはなかったようだ。

 

2000年のシドニーオリンピックと2004年のアテネオリンピックについては状況はもっと複雑だ。この2つのオリンピックの開催者は、開催終了後の今でも残っている負債を償還する期待を今でも持っている。例えば、ギリシャ人は、自国オリンピック終了後40億ドルの損失を蒙った。ギリシャオリンピック組織委員会は、今でもまだ、旅行者を誘致し損失を2019年までに相殺しようと期待している。

 

2000年のシドニーオリンピックの直接損失はアテネオリンピックに比べて、それほど大きくなく6億5000万ドルだった。しかし、シドニーオリンピックのために建設されたスポーツ施設は需要がなく、年に約3000万ドルの納税者負担になっている損失が継続したままである。しかし、それでも、オーストラリア政府は、10年後くらいにオリンピック経費を完全に償還することができると想定している。

 

中国人は、オリンピック施設があまりありがたくない運命にならないように、あらゆる努力をするつもりだ。北京ではオリンピック開催のかなり前から、オリンピック終了後の施設を、いかにして利益が出るように利用できるか熟慮していた。そのための可能性のあるすべてが揃っている。なぜなら、1500万人の人口を持つ北京では、このような施設はまだ少ないと言って良いからだ。そして、市民の増大しつつある所得も、この種の興行イヴェントへの新たな需要を創出している。

 

例えば、まだ1月のころ、都市政府は、アメリカのNBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)及びアメリカプロデューサー会社とオリンピックのバスケットボール舞台でスポーツイヴェントとコンサートを行なうことで合意に達した。他のオリンピック施設の経営には民間会社の誘致も計画されている。

 

かれらの力により、水泳センター「Water cube」は、北京政府の思惑では、全員入場型の有料水泳プールになるだけでなく、センターのブランド名で水泳パンツや海水着、ミネラルウオーターの販売により収益を上げる計画である。

 

しかし、はるかに複雑なのは、巨大サイズの91000人の観客を収容できる北京オリンピックの主要競技場「鳥の巣(北京国家体育場の愛称)」を利益体質の施設にすることである。行政府は、2億2000万ドルの価格のこの施設が採算が取れるようになるまで30年は必要だろうと試算している。すでに現在、巨大な西側企業に競技場内に、広告ポスターを掲載する権利を販売している。この競技場に新しい名前を与えるテンダー(入札)が行われる可能性も否定できない。しかし、入札に参加できるのは、どうやら、中国企業のみとなりそうだ。

 

オリンピックの報道センターやオリンピックのヨットのレガッタ競技用に建設されたヨットクラブも商業目的として利用する予定だ。選手たちが居住したオリンピック村は、デラックスクラスのアパートとしてそもそも最初から建設されており、1平方メートル3000-4500ドルで販売される予定であるが、それはブームになっている北京の不動産市場ですら高い価格だ。

 

しかし、北京オリンピック用に建てられたスポーツ施設が純粋な利益をもたらし始めるまでの期間はとても10年では済まないことははっきりしている。しかも、施設の価格はオリンッピックに使った総経費のほんの少ない部分に過ぎない。北京オリンピックに消費された資金の大部分は、(アテネやシドニーと同じ様に)、飛行場や道路などインフラ設備が大部分を占める。これらの投資の結果が出るのはさらにもっと長く掛かり、中国のGDPの成長テンポで評価するしかない。

 

複数のエコノミストは、すでに、オリンピック施設の大規模建設の結果かなり、過熱した中国の経済の成長テンポが鈍化している兆候を発見している。加えて、オリンピックのような巨大な祝典の終了後は、数百-数千万の中国人は、マスコミが伝えるところによれば、「非作業的」は抑圧された状態にある。(ギリシャのGDP成長テンポはついでに言うと、2004年のオリンピックの後は鈍化した)。従い、どうやら、自国の経済を冷やさないようにするために、中国政府のエコノミストは、オリンピック祝典終了後直ぐに、税制緩和や政府からの新しい財政出動を含む540億ドルの経済成長刺激計画を提案した。

 

近代のオリンピックは、毎年、コスト高になっているが、採算が取れるオリンピックはそれほど来ない。中国のオリンピックを含め、オリンピックの経験はもちろん2014年のソチ・オリンピックの開催者も参考にしなければならない。ソチ・オリンピックのコストも、ついでに言うと、今までの冬季オリンピックの予算を数倍超える記録的な額になるだろう。そして、見えている傾向に従えば、資金の大部分はインフラに投資されることになろう。