「Severstal」 が米国の鉄鋼生産量で第四位に
08:1527/03/2008

オレグ・ミチャエフ、ロシア・ノーボスチ通信社、経済解説員。

 

ロシアの鉄鋼界大資本家アレクセイ・モルダショフと世界でも最大級の鉄鋼会社ArcelorMittallのオーナー、ラクシミ・ミタルとの接点は益々大きくなっているようだ。3月21日モルダシェフが所有する「Severstal(セヴェルスターリ、ロシア北部鉄鋼会社)」社は、ArcelorMittalからアメリカにある冶金工場Sparrows Pointを8億1000万ドルで買収したと発表した。全体的な意見では、これは「Severstal」にとって極めて有利な取引になったようだ。ラクシム・ミタルは、モルダシェフにとって恐らくかなり取引し易い状態になっていたようだった。なぜなら、1月にモルダシェフはミタルに手頃な値段でクズバスの魅力ある鉱山を譲っていたからだ。

 

2年前、世界の鉄鋼業界では、モルダシェフとミタルより口説くのに難しい相手は存在しなかった。当時、インド出身のイギリス人(ラクシム・ミタルのこと)は、最後の局面で、もっと高い値段を提案して、ヨーロッパの巨大な鉄鋼会社Arcelorとの統合を目指す闘いでモロダシェフを追い越した。その結果、鉄鋼製造で世界の絶対的No.1企業、ArcelorMitallが登場した。

 

しかし、時間は経過した。そして、ビジネスの利益の方が過去の怒りよりも優越し始めた。2008年の1月の最後の最後に、多くの人にとって突然だったが、ArcelorMittalが「Severstal」から7億2000万ドルで、ケメロヴォ州の支援企業と共に3つの鉱山を買収したとの発表があった。

 

この資産は魅力的などという言葉では表せないほどのものだった。なぜなら、これらの炭鉱で採掘され、鉄鋼製造用に利用されるコークス炭の需要が増大しているため、これらの鉱山の資産価値は増大の一途を辿るだろうからだ。当時は、なぜ「Severstal」が、相容れない以前の敵にこれらの鉱山を売り逃げてしまったのかとの質問が起きた。

 

「Severstal」がArcelorMitallから、全部でわずか8億1000万ドルでアメリカの東海岸のメリーランド州バルチモアにあるSparrows Point工場を買った今、多くの謎が解けて来た。実は1年前ArcelorMitallはSparrows工場を5億4000万ドルも高い13億5000万ドルで他の購入者らに売りたかったのだがその取引は決裂した。アメリカの独占禁止機関当局からArcelorMittal社にこの工場から退出する要求が出されたからだ。従いArcelorMittalはこの工場から、いずれにせよ、退出しなければならない状況にあった。しかし、ArcelorMitallがこの工場の売却を進め、多額を支払う用意のある購入者を選ぶことは邪魔されなかった。

 

「Severstal」は、どのように見ても、同社に少なくない利益をもたらすアメリカの冶金工場を有利な条件で手に入れたことは確実だと同社の代表者たちは確信している。問題は、これは決してアメリカでの「Severstal」による最初の買収ではない。「Severstal」は、2004年からアメリカの鉄鋼資産を買収している。そして、アメリカに、「Severstal North America(SNA)」という「姉妹会社」を持っている。「Severstal」の声明によると、Sparrows Pointは、生産のコストの低減や生産の統合による節約から利益を上げ、「Severstal」のアメリカでの既存のビジネスも見事に補うだろうとしている。

 

専門家も同じ意見を持っており、「Severstal」が非常に魅力的な価格で非常に将来性のある資産を入手したことを強調している。実際、この取引の1週間前に、他のロシアの鉄鋼会社Evraz社は、この会社が製造する鉄鋼1トン当たりの価格換算で、1255ドルでカナダのClaymont Steel社を買った。(買収総額は23億ドルも掛かった)。このSparrows Point工場と比べると、「Severstal」はただ同然の、鉄鋼1トン当たりの価格225ドルでこの取引をまかなったことになる。

 

さらに、この取引のお陰で、「Severstal」は、同社の評価によれば、年産800万トンの生産量を持つことになり、アメリカでArcelorMittal、NucorそしてUS Steelに次いで同国4位の地位に躍り出た。