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メドヴェジェフのロシア:すべての国と協調するも国益優先の路線は変えず
08:1525/03/2008
 

ボリス・ビルシュテイン、企業家兼哲学博士。

ロシア・ノーボスチ通信社に寄稿。

 

ドミトリー・メドヴェジェフの大統領就任式まで残り日が少なくなればなるほど、ロシアの新大統領にとっての仕事はウラジミール・プーチンによりも苦しくもあり、そして同時に楽でもあるという考えが強くなって行く。

 

ウラジミール・ウラジーミロヴィッチは、当時の苦しい条件の下で国家管理の経験を持たず予測のつかないボリス・エリツィンの後に、最高権力にやって来た。ただしエリツィンを擁護する言葉としては、エリツィンには他人の失敗から学ぶ可能性がなかったことだけは挙げることができる。国家はエリツィン以前には90年代のロシアのような崩壊に陥らなかった。エリツィンへの社会からの結びつきは、情緒面と革命的行動で構築されていた。それは何だろうかを我々はすでに1917年から知っている。ロシアの人々は、ウラジミール・プーチンを理解し、受入れ、そして支援するためには、20世紀末の悪夢を通り過ぎねばならなかった。そして彼は、自分の中に、力と道徳的芯とロシアのジャンルを徐々に変えて行く希望、歴史的悲劇から社会的長編物語に変えて行く希望を見つけねばならなかった。

 

プーチンは、自分の同一思想者には、国内で実行される社会復興の国民プロジェクトのみならず、発展思想や、新しいロシアを創設する現実に存在する計画を譲渡した。そしてこの意味において、ドミトリー・メドヴェジェフは彼の前任者より楽と言えるだろう。ウラジミール・プーチンは、クレムリントップに就任した最初の頃から、全く全ロシアや全市民ではない彼や彼の事業に拍手することはないことを迷うことなくはっきりと判っていた。さらに、彼は全く何もない白紙から始めたのではない。かつての巨大国家の廃墟からプーチンはやり掛けになっていた仕事を確立し、それら社会を管理していた気違いじみた崩壊の惰性を投げ捨てることにより、社会の動きに新しいエネルギーと社会の生活の新しい動機づけへの基礎固めをした。

 

プーチンと彼のチームは、最重要な仕事、国民に、社会的意識を持たせ、自分自身で何でもできるという自分自身の十分性という意識を持たせることをという最重要な仕事を始めることができた。そして、創造に飢えた人々は、あんなに苦く、古典派によって皮肉を言われた文学のまだ19世紀のロシアのリベラル派の伝統的な惰性から去って行った。ツレゲーネフ小説の主人公の有名な金言を思い出そう。「我々の仕事は壊すことで、建設することは別の人々がやる」という金言を。ロシアはプーチンの示す方向を指示する反応をした。国民の間にはエリツィンへの反応とは違う反応が作動した。その反応なしには、大統領プーチンも行く道がなかっただろう。もちろんプーチンは困難だった。メドヴェジェフについては、耕された畑の上に登場した。彼に必要な事は前任者によって撒かれた芽生えを栽培することであろう。そして、この意味においては、後任者は運が良かったと言える。彼は、誰からも「KGB」の手先と思われないし、すでに存在しない昔の省庁の代表者の人物として見られることもないだろうからだ。尤も、プーチンも決して、特殊機関から最高責任者の地位についた世界で唯一の大統領ではない。しかしこのことで、彼は、反対者が政治的に利用するとき、いつも「つまらないことにいちいちけちをつけられていた」のは事実だ。しかしメドヴェジェフにはこのような心配はない。

 

ドミトリー・メドヴェジェフはすでに大分以前から、リベラル主義であり、「職業集団」出身者としてその名声が通っていた。そして、彼から愛想良く扱われる新人を作ろうと望む特定の政治勢力もいるだろう。そして彼が陥る可能性のある罠があるとすればここだ。ロシアの内外でロシアでプーチンとは異なる路線を取る権力、つまり「政権の交替」を待ち望んでいた人達は、疑いなく、あたかもメドヴェデフが経験不足であることにかこつけ、自分のシナリオやドラマで新しい国家主席との関係を構築しようとするだろう。そして、メドヴェジェフにとっては、国益の基本を維持し、守り抜きながら、そして、1人立ちしたばかりのロシアの時にはプーチンは必要だったかも知れないが、極端な灯火交信を出さずに(紛争の火種を撒かずに)、しかし「道標の交替は起こりませんよ」という事も理解させながら、欧米を含む反対勢力との関係を構築して行くという平坦でない道が控えている。

 

新しい大統領は、新しい時代、つまり、世界の状況が稲妻にように変わりある種の過去に前例のない時代、に政権にやって来る。そして、この荒れ狂う政治的海洋で水先案内人になることは非常に難しい課題だ。しかし、ここでは、メドジェジェフはついている。その政治的経験が後任者に、「転換期」から素早く抜け出すよう助けてくれるプーチンが隣にいるからだ。ここでは、市民社会が、メドヴェジェフに、後継者としてだけでなく、彼がロシアの副首相の時に為した仕事を評価して投票したという背景もメドヴェジェフの追い風になるだろう。

 

新大統領選出の日からまだほんのわずかな日数しか経っていない。しかし、すでに今、プーチン - メドヴェジェフの2人乗り自転車はきちんと作動することは断言して言える。

 

ウラジミール・プーチンとドミトリー・メドヴェジェフは、90年代にロシアに起こった出来事全体に対して統一した視角を見出した。彼らがそれを通じて国の貧困を見た光学は、視野の地平線を広げている。何が重要かについての彼らの理解は共通している。20世紀末にロシアで起こった出来事に対して責任があるのは、「悪魔の」西側でもなく、ソ連時代からの遺物という射撃のためでもない。悪いのは90年代の若い改革者が積極的に利用したイデオロギーである。

 

プーチンは以前に、そして現在はメドヴェジェフが、西側へのアプローチと相互関係の堅固な基礎を敷いている。その際、パートナーの利益にも配慮する。プーチンは厳しく事業を進めた。なぜなら、遺産として受け継いだものしか彼は遺産として入手できなかったからだ。とくかく国を救わなければならなかった。メドヴェジェフには、対外政策でも国内政策でもはるかに広い駆け引きの可能性がある。彼の力点はプーチンに比べ別のところになるかも知れないが、「政治交響曲」の精神は変わることはないだろう。

 

自分の演説の中で、メドヴェジェフは、ロシアは、西側とも東方諸国とも協力しなければならないと何度も強調している。しかしこの協力のイデオロギーには、新しい大統領にもう一度確認された歴史的に認定されたドクトリン(教義)、つまり、「我々は他の諸国とも新しいアプローチと協定を探していかねばならない。しかしそこには、すべての文明国家と同じ様に、国と国民の利益が貫かれていなければならない」というドクトリンが基礎にある。そして、上述から判るように、メドヴェジェフは、このような利益を守るための仕事を西側や東方諸国の肩に任せって切りにするつもりは全くない。

 

プーチンは8年の任期の間、市民が創造的社会意識を持つことができるようにロシアの生活を作り上げた。「基礎を築き上げた」彼は、今度は、メドヴェジェフに、社会の新たな次の段階に押し上げることに着手する可能性を与えた。