評論員 オリガ・ソボレフスカヤ執筆発
短時間にせよ長時間にせよバイカル湖巡りの船旅、「シベリアの聖なる海」でのヘリコプターツアーとダイヴィング、アザラシや無数の鳥類との「出会い」、湖を取り囲むタイガと山脈への遠征、シベリアの仏教中心部訪問、チベット処方箋を使った療法、これらはすべて、シベリア南部の自然ならではが提案できる旅行コースだ。この優秀なコースはすべて、バイカル湖を、夏季、冬季を問わず伝統的で欠かせない景勝地に位置づけている。湖の周辺にはキャンピング、宿泊小施設や高級ホテル、民族博物館「18世紀のアンガルスクの村」と「バイカルの歴史博物館」の拡充など、旅行総合設備の改築、増築が進められているが、これらの建設は必ず実を結ぶだろう。首都並びに地域の旅行会社は名所旧跡見学主体の知識啓発旅行から生態環境を満喫する旅行まであらゆる種類の旅行を提案している。
バイカル湖は336の河川と、空が永遠に青い大地であるブリャート地方の湖の供給源になっている。バイカル湖は、湖の全長636km、水深920mから1637mの世界最深の山中湖で、アメリカの大湖すべての湖水を収納できるほど規模は大きい。誕生からも太古の歴史がある。湖齢は約2500万年で、ユネスコの保護湖に指定されている。生物的多様性も桁違いに多く、2565の種類・亜種の動物、1000種・亜種の水中植物が生息している。鳥類はバイカルを経由して348種が飛び交う。鳥類学旅行では湖岸で鳥類バザー(市場)の見学、そしてバイカル、ボルゴイの両自然保護公園では珍種鳥類を観察することができる。公園には鶴、ノガン(野雁)、ウミワシも生息する。
バイカル地方では、きれいな空気、豊かな太陽、鉱物水も満喫できる。チベット医学の医師は薬用植物療法や針鍼療法、チベット浴槽や点マッサージを使った治療の提供をする。ところで、療養旅行では、仏教の中心地イヴォルギンスク礼拝堂に滞在し、祈禱式に参加するこもできる。イヴォルギンスク礼拝堂は完全な修道員設備になっており、ロシアの仏教指導者の邸宅になっている。ここには博物館やホテルそして勤行者の居住地もある。礼拝堂の主要寺院であるツォグチェン-ドゥガンは、マンダラの理論にもとづき建設された建物だ。建物は12匹の石のライオンにより警護されている。この寺院の生贄を供える祭壇には数千の仏陀から成るパンテオン(万神殿)と仏陀シャキャムニの巨大な彫刻が備え付けられている。
仏教は17世紀にバイカル地方でラマ教の形で発生した。古代神学使節団や古代宗教の跡を辿る特別な宗教旅行も可能である。この旅行では通常旅行者は行政の中心地イルクーツク市からブリャート自治共和国の首都ウラン・ウデ市まで汽車で通行する。このような宗教旅行には、18-19世紀のブリャートの崇拝建物記念碑が保存されているグシン湖の湖岸にあるタムチンスク礼拝堂への訪問、再開され近くには清められた鉱物水が沸き立っているアツァガト礼拝堂への訪問が企画に含まれている。ノオヴォセレンギンスク村には、イギリスの神学使節の滞在の跡が保存されている(ここには使節員たちの居住地も保存されている)。セレンガ川岸には半倒壊したロシア正教のスパスキー大聖堂と小礼拝堂が目に入ってくる。古代ヤンガジンスク峡谷聖堂や岩に描かれた絵画を見ることもできる。
バイカル湖巡りの船旅は通常10-14日かかる。旅行では、バイカル国立公園、伝説になっているオリホン島、温かい温泉水浴、群生地でのアザラシ観察、湖岸でのシベリア風呂場などへの見学ツアーを満喫できる。オリホン島はバイカル地方でもっとも大きい島で、その面積は730平方kmある。バイカル湖最深部1637mの近くに位置する。オリホン島にはステップ(雨量の少ない草原)や砂丘、丘、カラマツ林のある砂浜、太古からのエゾマツ林、鮮紅色の苔が表面に生い茂った大理石岩の見学を堪能できる。島は自転車でも馬上でも自動車でも走行でき、またボートで湖上遊覧しても良い。ブリャートの神話に、オリホンはバイカルの威厳ある精神が住みかであるという神話がある。島はシャーマン(まじない師)の儀式の中心地として崇拝されている。
山岳旅行の愛好者には、プリバイカル(バイカル湖に沿った地方、沿バイカル)の高所山頂を征服するツアーも可能だ。ハマル・ダバンという山脈がバイカル湖を南から取り巻いている。山脈の最高点の高さは3000mに達する。
ロシア旅行産業連盟では、バイカルは旅行の大きな可能性を持っており、人気は年々高まっていると指摘している。旅行のインフラ整備が進めば外国からの旅行者の流入も増大するだろう。これは近い将来十分可能なことである。なぜならロシアの投資家のみならず外国投資家もバイカルの大地への関心を高めているからだ。