プーチン「首相」の遠大な権力維持戦略
08:4321/12/2007

アンドレイ・ヴァヴラ、ロシア・ノーボスチ通信社、政治解説員。

 

 

プーチンは首相になることに同意した!

一年間ずっと我々は、プーチンは実際の権力を譲らないために如何なる選択するか予測して来た。

超信頼できる後継者を推挙すること?

第3期も大統領を務めること?

国民的リーダーになること?

ロシアとベロルーシ同盟の長になり、両国の大統領の間で両大統領を仕切ること?

国会の議長になり立法権力(国会)を支配すること?

首相になること?

 

最後の「首相」は国家で2番目に位置し、公式的には権力者の次いで一番権力に近い人物だ。しかし、すべての人は、首相になるというプーチンへの提案は、単に、「現行の大統領が自分の最強資源を自分が去った後積極的に始動できる人と組織に分け与え続ける信号」として捉えていた。議会選挙前は「統一ロシア党」に分け与えた。そして、これは極めて効果的だった。現在は、メドヴェジェフに分け与えている。大統領選の時は、選挙に来る人すべてはもしメドヴェジェフに投票すれば、首相の職にはプーチン自身も維持されると思うだろう。信任され首相に選出されるだろう。そして、そうなればプーチンは言うだろう「3ヶ月前にメドヴェジェフが私にした提案を受け入れたくない。なぜなら国民の信任を得た後は「国民のリーダー」という自らのステータスを通じて権力をコントロールすることが完全に可能になるから」と。

つまり、ロシアの2番目の大統領が去った後の政治権力の現実の姿と、プーチン首相というケースの間には何の関係もないことをすべての人が予想していた。党は勝利した。後継指名者は勝利するだろう。さらに何が必要なのか?どうやら、やっと、完全に明瞭になったようだ。

しかし、後継候補が明らかになり、その候補がプーチンに首相になることを提案した後いつも、どこか、意識の下に、大統領は何をするのか、ここでは本当にサプライズなしで済むのだろうかという疑問を強く感じていた。

そして突然、プーチン首相 だ!

また外れた。プーチン退任後、首相になることに同意する旨の表明の後、あれほど予想された2重権力はおかしな方向に向かった。基本的に、神に一番近い存在である国民リーダーではなく、したければ知らない子供にキスする、あらゆる国家の長に小言を言う、最高級職務でも良い、しかし、インフレの防止、年金の適宜の支払い、特典のある薬、農業経営の向上、等々、に責任を持ち、最後には、ロシア国家の予算の幸福が掛かっている石油価格に責任を持つ役人が誕生するという方向に向かった。

大統領制と政府との間で権力全権を再分配せずに、しかし、全く違う首相、フラドコフでもズプコフでもない首相、「国民リーダー」となる首相が現れる。しかし国民リーダーと言えども首相は任命される立場にあり、憲法上も大統領や議会に対し厳しい報告義務を負う。あらゆる面で常に神聖に法律を守り、公式的に文句のつけようがない理想的な政府の長、首相になる。プーチンが第3期も大統領を務めるなんて言ってたのは一体何だったのか?!

何やら、どうやら、プーチンが政治システムの中に自分の存在の形式化の必要性を見ている外面的な同意と権力の豪華さが隠されている。プーチンによって動くものは何か、後継者への心配か?軍関係者はその後継者を「破壊」するだろうか?財閥は沈まないだろうか?地域のリーダーは支配から抜け出すだろうか?あるいは、構築されるシステムは最高に個人的性格を持っている。なぜなら我々にとって重要なことは、権力の制度ではなく、そこにいる人物たち(ところが実際は全く孤立しているが)と彼らの間の関係である。

総じて、我々はこれらすべてが何を意味するか知らない。しかし、自分の手で作られた政治システムの脆さを認める形に見える。どこに、たった一人の具体的な人物がシステムの効率、調整された協力、そして、労働能力ですらの保証人であるなんてどこにあるのか。単に大統領がシステムの主要な環であるのではなく、まさにウラジミール・ウラジミーロヴィッチ・プーチンが主要環になっているのだ。

しかしながら、脆さは以前にも感じられた。なぜなら、どこでも状況は同じだった。選挙を行なおうと行なうまいと最初から結果は判っているロシアでは選挙か選挙を行わないかだった。そして、我々は、どのような形で権力は公式的な法的規準を遵守しながら永遠に自分を維持する積もりなのだろうか?何か道具を使うのか?何か特別な機関あるいは法律の力を借りて維持するのか?いかなる形でサプライズを我々に発表するのか?という終わることのない推量をしていた。

そうは言っても、新しい職務でプーチンを羨ましいとは思わない。彼は、構造の最も脆い部分に対して責任を取ることを引き受けている。なぜなら、女性の体がそうであるように、ロシアの経済が相互に結びついている世界経済にとって固有なのは周期性である。どうやら全部OKのように思われる、突然 ずどーん、だ。ほら見てみよう、食料品価格の高騰は我々にとって予期せぬことで深刻な打撃になった。もし突然ドルあるいは石油価格が下落、際限なく続く社会的義務、年金問題、住宅価格の高騰、エネルギー資源の国際価格と国内価格の均一化、インフレ、が起こったら?そして、これらすべてにたいして責任を持つのは首相である。

ところで、私は考えた。いかにプーチンがメドヴェジェフの前で報告義務を果たすのか?そして後で判ったことだが、どのように報告を行なうか、これはまったくプーチンの問題ではない、プーチンは好きなように報告すれば良いのだ。メドヴェジェフは上司として部下(プーチン)に報告はさせるが報告を聞いた後で部下に命令を下す立場にある。どのようにプーチンに命令を出すか、これはメドヴェジェフにとって難しい問題だ。メドヴェジェフは複雑な問題を背負ったと言って良い。