15億ドルを払ってでもEVRAZが中国へ進出
08:5522/02/2008

オリェク・ミチャーエフ、ロシア・ノーボスチ通信社、経済解説員。

 

 

 ロシアの冶金企業Evraz社が中国の鉄鋼会社Delong Holdings社を買収する協定を結んだ。買収総額は15億ドルに達する可能性がある。買収が中国の管理当局の承認を得られれば、Evraz社は、巨大な中国鉄鋼市場に入り込むロシアで最初の冶金企業になる。

 

Evraz社の2月18日の発表によると、買収は複数の段階で行われるとのこと。最初Evraz社はDelong社の現在の主要株主であるBest Decade社からDelong社の株10%を譲り受ける。その半年以内に同社はDelongの株をさらに32%購入する。その後、Best Decade社はExraz社にさらにDelong株9%を譲渡する。そのためにEvraz社は7億6200万ドルを払い、その結果Delong社を支配できる株数51%を取得する。

 

Delongに対する支配権を獲得したら、Evraz社は、Delong社の少数株主から株を買い上げるオファー(提案)を出すことになっている。もしこのオファーをDelong社のすべての少数株主が受ければ、Evraz社の中国社買い上げに要する出費は15億ドルに達する。

 

株主の1人にフットボール・チ-ム「チェルー」のオーナーであるロマン・アブラモヴィッチも連ねるEvraz社は、最近、CIS、アフリカ、アメリカなど全世界に亘る鉱石採掘企業を買収している。昨年は、同社は、1600万トン以上の鉄鋼を製造した。年間の粗鋼生産が約300万トンのDelongを買収することにより、Evraz社は巨大な(世界の市場の30%を占める)そして地球で最も成長著しい中国の鉄鋼市場に乗り出すことになる。

 

2007年の中国の粗鋼生産量は16%以上も増え、490万トンまで生産した。しかも中国は約1700万トン鉄鋼製品を輸入した。予測によれば、中国の鉄鋼需要は近々の3年間に、さらに40%増大すると言われている。Evzar社の社長アレクサンドル・フロロフが同社の中国市場進出を「最大級の戦略的事業」と述べたのは決して偶然ではない。

 

超魅力的な中国鉄鋼市場への参入にはもちろん金を払う必要があった。Evraz社はDelong社の株に対し、買収発表の時点の価格より30%も高いプレミアム価格を提案した。

 

しかし、Evraz社がDelong社買収のために用意するつもりの高い価格だけではこの買収は説明し切れない。中国の鉄鋼市場は、非常に閉鎖的で、そして、外国の企業にとってはそこに到達するのが難しい。どうやら、Evraz社はスラブ(より高い再精錬の鉄鋼圧延製造のための半加工原料)生産の余剰品をもっており、それをDelong社に納入することができる。そうすることにより、スラブの部門でも増大する中国の需要を満たすことができる。

 

Evraz社はどうやら、まさにこのために、わざわざ付加金と多額のプレミアムを払ってまでも、中国市場への入場券を手に入れたいのだろう。しかしトランプゲームでろうそく代はちゃんと取れる(払った金の元は取れる)と踏んでいるようだ。