ガスプロム、伊のEni社と組み、リビヤ、エジプトから南欧、アメリカに進出計画
08:5005/04/2008

イーゴリ・トムベルグ、

経済修士、及び、ロシア科学アカデミー国際経済政治研究所主任研究員。

ロシア・ノーボスチ通信社に寄稿。

 

 

ノヴォ・オガリェヴォの大統領公邸での現在の大統領ウラジミール・プーチンとイタリア人ビジネス界チャンピオン会談に臨むためEni、Enel、Indesit、Finmecanica、Bank Intesa、Ferreroなどイタリアの巨大会社のTopたちが来莫した。会談の内容は、またしてもエネルギー分野に集約した。ロシアのガスプロムには、アフリカの北部に定着する現実的なチャンスが現れた。イタリアのエネルギー巨人Eniは、リヴィアのガス田の開発でガスプロムとリビヤのガス田の開発権を割り当てる意向を示している。

 

「本当の突破口」とプーチン大統領はエネルギー部門の両国の相互協力を名付けた。1年前、ユーコスの資産の売却の入札でEni/Enel連合は、58億3000万ドルで「アルクチックガス」社と「ウレンゴイル」社を含む数社と「ガスプロム・ネフチ」社の株式20%を取得した。さらに、Eniは「ブルー・ストリーム」の株式の50%を、Enelは「OGK-5」の株式の59,8%と「ルス・エネルゴズブイト」の株式49,5%を保有している。Eniはまた、ロシアとの協力で最も将来性あるプロジェクトとして会談に中で名前が出た「南ルート」プロジェクトにも参加している。現在、この協定に、ガスプロムとEniの間で資産の交換の新取引が加わる可能性がある。

 

ロシアのガス独占会社の主要な関心事はリビヤでのEniの立場だ。制裁解除後、リビヤは極めて将来性のあるヨーロッパへの石油ガス供給の源泉になっている。リビヤの調査済み天然ガス埋蔵は約1兆4900億立米に達する。これはアルジェリア、ナイジェリアそしてエジプトに次いで4番目の量である。リビヤの石油採掘の年間の水準は8010万トンである。ガス採掘量については70億立米でありそのうち83%は国内消費に、残りの17%は輸出されている。リビヤは、硫黄含有の少ない軽油の調査済み埋蔵ではアフリカで第1位、OPEC加盟国でもサウジアラヴィア、クエート、アラブ連合首長国そしてイラクに次いで5番目で、その量は51億トンに達する。

 

ガスプロムは、リビヤ市場に本当に定着することを決定した。昨年、ガスプロムはすでに、ユジノ・ルースキーガス田に匹敵するガス埋蔵を持つリビヤのNo.19ブロックの探索と開発権を獲得している。同社は4年間にこのプロジェクトに約3億ドルを投じる計画である。さらに同社には、すでにリビヤに3つのプロジェクトを持っており、すべて昨年取得したものである。3月にはガスプロムは、2012年までにその開発に2億ドル投資する予定の地中海々域での生産分与協定をリビヤ国営石油会社のNOC社と結んだ。そして最近では、昨年の株式交換協定にもとづきドイツのBASF社から2つの石油利権企業のそれぞれ49,9%の利権を獲得した。

 

ガスプロムはすでに大分前からアフリカでのイタリア企業の進めるプロジェクトに関心を示している。特に、このテーマは、Eniがガスプロムが保有するロシアのガス生産企業NOVATEK社の株式に関心を示していた2006年頃からすでに論議されていた。

 

Eniは、ガスプロムに、リビヤでの石油ガスプロジェクトに参入することを提案することは十分に可能だ。リビヤでは、ENIは、年間能力80億立米を持つGreen Stream社のガスパイプラインの50%を所有している。パイプラインは地中海々域の陸棚にある2つの採掘田とイタリアのシシシア海岸をつないでいる。さらに、Eniは、年間320万トンの製造能力のあるガス液化工場にも資本を投資している。Eniは、さらに、その埋蔵量が6800万トンと試算されるElephant油田にも33,3%の株式を保有している。しかも、Eniは、リビヤ中央部で探索と採掘に関する4つのライセンスを保有している。

 

昨秋、Eniは、石油ガスの採掘と輸出の現行契約を向こう25年先まで延長する協定をリビヤと結び、リビヤでの自社の立場を強化することに成功した。さらに、この協定では、Green Streamのガスパイプラインの輸送能力をさらに30億立米拡張し(現在の輸送能力は年間80億立米)、年間50立米のガス液化工場を建設することにより、イタリアへのリビヤ産ガスの輸出量を2倍に高めることが計画されている。これらのプロジェクトは、Eniとリビヤ国営石油会社NOC社リビヤ国営会社NOCが対等の権利の原則で推進され、輸送源は陸棚にあるバフル・エス-サリャム採掘田と大陸側にあるヴァファ採掘田から補給される。

 

リビヤでのプロジェクトはガスプロム並びにその姉妹会社「ガスプロム・ネフチ」にとって当然関心を引き起こすものだが、リビヤ以外のプロジェクトにも関心を持っている。Eniは、エジプトのナイル川河口のダミエットにあるガス液化工場にも資本を持っており、同社がこの分野での協力可能にあることも非常に興味深い。この工場の液化能力は年間で150億立米まで高めることを計画している。さらに、Eniは地中海のEl-Bougaz blockで探査試掘作業を行なうライセンスを所有している。

 

このようにしてオガレヴォ公邸での会談に至ったわけだが、会談ではEni社の社長パオロ・スカロニは、Eni社がガスプロムに渡す用意のある資産を明確にした。イタリアからは発電所以外に、ガスプロムは、Eni社が保有するリビヤのElephant油田の3分の1を取得するかも知れない。

 

ガスプロムの見事なアフリカ北部への進出は、ガスプロムのこのような方法による強力な、何もしなくとも強力な、ヨーロッパ市場への進出はヨーロッパを心配させている。現在、ガスプロムは、EUにガス輸入の4分の1を保証しており、将来的には、3分の1までシェアを高める計画である。

 

リビヤへの進出はイタリアとポルトガル市場への進出の足固めになり、そして、将来的にエジプトのプロジェクトはスペインへの進出の拠点が確保される。ガスプロムにとっては、北アフリカからヨーロッパへガスの納入を始めることは非常に関心のあることである。なぜなら、それは、南ヨーロッパ全体の市場での自社の立場の強化につながるからだ。北アフリカで液化ガスの製造のシェアを持つことは、2030年までに世界の液化ガス市場のシェアを4分の1まで占有し、さらにはアメリカ市場も見据えたアメリカへの輸送と同国での販売の際に介在者を不要にするという先日宣言されたガスプロムの野心的な計画のしっかりとした土台になるだろう。