「アトムエネルゴプロム」と東芝の同盟はフランスにとって脅威
07:4531/03/2008

タチヤナ・シニーツィナ、ロシア・ノーボスチ通信社、解説員。

 

パリの心配は冗談ではない。心配の理由は、原子力産業の2巨人、ロシアの「アトムエネグロプロム」と日本の「東芝」が同盟を結ぶというニュースだ。競争相手たちの心配は当然だ。実際、もしこのような2社による強力タンデム(2人乗り自転車)が国際市場に登場すれば、このタンデムと争うことは非常に困難になる。専門家はこの同盟は全体的リーダーの力を持つことになろうと予測している。

 

現在まで、世界の原子力市場はフランス・ドイツのAreva-Siemens同盟と、2つの日米同盟、東芝-ウエスティングハウスとGE-日立、そして、「アトムエネルゴプロム」で占められていた。ロシアと日本が同盟すれば原子力界の主導国際プレーヤーの数は4から3に減ることになるだろう。問題は、東芝-ウエスティングハウス同盟と言っても近年からはウエスティングハウスの株式の70%は東芝が保有しているという実体があった。(東芝が支配していた)。このような中、すべての人はロシアがどのような選択をするかを待っていた。なぜなら、選択は自動的に残りの2つの同盟に対する決定的優越を勝ち取ることになるからだ。そして今、それはすべて解明された。

 

「アトムエネルゴプロム」と東芝の接近は、フランスの新聞「Les Echos」紙は、「原子力産業の鎖のための」重要な出来事と名付けた。ロシアの企業とそのパートナーである日本の東芝が同盟するかも知れないことは、原子力エネルギー国際市場の主導的プレーヤーであり核クラブ国家のフランスを本当に心配させている。この同盟はフランスのAreva社にとって極めて手ごわい競争相手を産むことになる。「対抗策」としてフランス政府は、上述の「Les Echos」の発表によれば、原子力発電所の建設に関する「フランスのスーパーチャンピオン」の創設の構想を推挙した。それによれば、2つの国民的企業、AevaとAlstomを統合させる可能性が検討されている。

 

ロシアの企業と日本の会社をお互いに抱擁させた動機は一体何だろう?グローバリゼーション?国際市場の論理?ロシアについて言えば、ロシアは定例の技術革命の中に新しい傾向を「見逃したく」なかった。そしてその一歩を踏んだ。

 

それでも、なぜロシアは東芝を選んだのか?選択先の住所は最初から決まっていたわけではない。戦略的パートナーに関する提案は全員に出された。そして、その後、要因が重なって、東芝の条件が有利であることが判明した。「例えば、東芝にはエンジニアリングのノウハウ、つまり、3年間で原発を建設する技術がある。この分野では東芝は世界のリーダーである。我々では建設に5年間掛かる。従い、もし同盟が成立すればパートナーから学ぶものはあると「ロスアトム」(ロシア原子力局)の代表セルゲイ・ノヴィコフは強調した。さらに、我々は、相互に大規模装置の納入者としてお互いに関心を持っている。ロシアにとってプラスになるのは、さらに、原子力燃料の大市場に進出できる可能性が出てくることだ。

 

「アトムエネルゴプロム」には自分の切り札も持っている。第一に、同社は、原子炉製造のあらゆる技術を持っている。東芝は市民目的の原子力装置を「ターン・キー」方式で製造する能力を持ち、先進的で、何回も実際の稼働で実証済みの加圧水型原子炉技術を持つパートナーを得ることになる。

 

構想によれば、将来的には、「アトムエネルゴストロイ」と東芝の協力は、戦略的パートナーシップに移行することになっている。今のところは、協力の合意はフレーム協定的な性格だ。しかし、専門家はこの協定は完全な国境を超えた同盟の形成に向けて後に戻らないステップである。同盟は完全な対等の条件で成立している。誰もシェアも株も売らず、本当に、2つの会社が共同でビジネスを計画する。同盟は、安全でクリーンな効果的原子力エネルギー生産体制を発達させ、導入することが根本にあるグローバルな課題が起点になっている。

 

新同盟には、すでに何か具体的なプロジェクトがあるのだろうか?

 

「調印されたフレーム協定」は、ビジネスは極めて具体的で、そして、どの状況でも、どのプロジェクトでも適切な決定を下す必要があることを今後の出発点としなければならないという信号を市場に発した。もし、例えば、我々が、原発配置の総合図面に取り上げられる対象となる極東の沿海地方原発を建設すれば、協力には日本人を招待することが論理に適うことになる」と上述のセルゲイ・ノヴィコフは語る。専門家は、ロシアで原発用装置製造の分野で東芝と合弁企業が生まれる可能性も排除していない。

 

  同盟の両者は、協力の新しい方向をダイナミックで効果的で両者にとって利益になるものだと位置付けている。国営企業「ロスアトム」社長セルゲイ・キリエンコによれば、2大巨人の同盟は、原子力のルネサンス(復興)へのプロセスにプラスに作用し、プロセスの今後の見通しをより明確に保証し、技術的にも実現できる可能性をもっている。

 

 キリエンコは、ロシアと日本の協力の果実は、この2つの国のだけの資産に止まらず、原子燃料商品とサービスのすべての消費者もその利益を享受できると固く信じている。この点に関しては、日本天然資源及びエネルギー政策局のハルフミ・マチヅキ局長も同意見だ。