ロシア、ドイツの処方で自国エネルギーの節約に取組む。
07:4520/06/2008

タチヤナ・シニーツィナ、ロシア・ノーボスチ通信社、解説員。

 

 

6月7-8日に、日本の都市、青森でエネルギーの安全保障と気候変動に関する問題を協議したG8諸国のエネルギー担当大臣は、2050年までの世界のエネルギー発展について国際エネルギー局が作成したレコメンデーション(推薦書)を公表した。力点は従来と変わらず、回収可能エネルギー源の探索、原子力エネルギーの促進、エネルギーの節約、二酸化炭素(CO2)放出の削減、であった。

 

実際に遂行するという観点から、費用もあまり掛からず、実現し易い項目として最後の2項目は、ロシアを始め世界各国で積極的に実行されている。この方向で模範になるのはロシアとドイツの協力の経験だ。つい先日(6月10日)、ロシア国内の南部に5年以内に導入されることになっているエネルギー効率向上技術取得に1200万ユーロが投資された。プロジェクトが実現されれば、料率が恒常的に上がるという現況下で、地域の企業や住民に、エネルギー資源のコストを大幅に低減できるという可能性を与えることになる。

 

エネルギー節約プロジェクトを実現するための特別目的ローンが、2つの銀行、ロシアの「ツェントル・インヴェスト」銀行とドイツのKFW銀行、から組まれた。これは国際金融機関の協力の最初の経験ではない。「ツェントル・インヴェスト」銀行の頭取兼教授のワシーリー・ヴィソコフの発言によると、すでに組まれているローンは、ロシアの南部地域向けに設定され、そこではエネルギー消費を40-70%節約することができたとのことだ。この結果は、ドイツのエンジニアリングと最新の技術のお陰で達成された。アゾフ海沿岸の大都市の1つ、タガンログ市の家屋やアパートにはエネルギー節約装置が取り付けられ、企業や公共機関ではボイラーやポンプ装置の交換が行なわれた。CO2放出は全体で30万トンの削減が可能になった。新しい合意のお陰で、この数字を40万トンまで持って行く課題が設定されている。

 

共同プロジェクトという形で実行されるロシアとドイツの両銀行による協力協定の調印式は、両国の「エネルギー関係」の省庁のトップ、ロシア天然資源環境相ユーリー・トゥルトネフとドイツの環境保全及び自然及び核原子炉安全保障相ジグマル・ガブリエリも出席して、モスクワで行なわれた。両名とも、環境保全の分野での協力に関するロシア・ドイツ政府間協定(1992年)を遂行する上での責任者だ。現在、多年に亘る環境分野での協力では新しい方向性が現れた。それはエネルギー節約技術だ。(先に、バルト海の生物の多様性の問題に関する計画が遂行された)。

 

我々の協力を確実にするローンの総額は、将来的には約1億ユーロに達するだろうとジグマル・ガブリエリは強調した。両国は、信頼ある協力国の関係がすでに多年に亘り続いており、我々は、相互協力を環境保全やエネルギー節約の分野に発展させて、相互協力計画を拡大している」。ユーリー・トゥルトゥネフは、ロシアがドイツの豊な経験と技術を学びたいと思っている。なぜなら、ドイツでは、エネルギー効率と環境問題はるかに早くから取り組み始めており、多くのことを成功させたからだいうことを隠さずに公言している。

ドイツの革新技術をロシアの南部地域に導入することに関連するプロジェクトは、両国の協力分野では唯一のプロジェクトというわけではない。ジグマル・ガブリエリは、同行するドイツの30の企業家たちと、エネルギー節約と環境保全問題が非常に深刻になっているウラルにある古い産業地帯スヴェルドロフク州を視察旅行した。スヴェルドロフスク州の企業とドイツのエネルギー局との間で調印された協定をベースに、エネルギー効率問題、代替エネルギー資源の利用、産業及び生活廃棄物を加工技術を始めとする2国間の相互活動計画が作成されることになっている。

 

ロシアの国家政策で環境要素は現在、取組むべき第一番目の項目に引き上げられている。豊富な天然資源に恵まれるロシアは、今のところまだ、それらの資源にぞんざいに扱っても構わない状態だ。石油、ガス、水、森林を不当に多く利用している。それらの利用の際、環境的に乱暴に解決している点も否定できない。その結果、環境の質が低下するだけでなく、対外市場で、とりわけ、高い基準を持つヨーロッパの環境基準と合致していないために、民族商品の競争力も低下させている。このような現実は、もちろん、ロシアが新しい、確固たる経済発展の段階に移行して行くための道順とは違う。

 

状況を改善させるため、国家は法律を近代化することに取組んだ。一方では、天然資源の汚染者に対する罰則規定を厳しくし、他方では、産業セクターでの資源節約技術の導入刺激策の策定に取り組んでいる。天然資源相のユーリー・トゥルトゥネフは、環境問題を解決するためには、まず以って、祖国のみならず外国の中小の企業の誘致が必要であると断言している。政府は、ロシアでのそのための作業が快適になるようなあらゆる条件を設定する用意がある。他の方法は、本当に、存在しない。なぜなら、向こう10年には資源の需要は、現在よりもさらにもっと速いテンポで増え、資源価格は上昇するのみになるだろうからだ。