インタヴュアーはロシア・ノーボスチ通信社ヤナ・ミチシンコ特派員
長塚千年(ながつか・ちとせ)「トヨタ通商㈱」モスクワ事務局長は、1953年に生まれた。東海大学教育学部を卒業。ロシアに初めて来たのは1975年。モスクワには合計15年生活している。最初は「イスクラ産業」で働き、その後「トヨタ通商」に移った。
‐ 長塚さん、あなたは、1970年代にソ連に行くことは恐ろしくなかったですか?
‐ 反対です。全く安全という気持でした。
‐ ロシア市場でロシア企業と働いたあなたの印象はどのようなものでしたか?
‐ ロシアとは、私はすでに30年以上働いています。基本的には、私は、不快感というのは全くなかったと言うことができます。つまり、私にはロシアで働くことは心地よかったです。希望のある国だと心底思います。加えて、私には、ロシア人は日本に対し悪い感情を持っていないという気持がいつもありました。私はここで働くことは気持が良いのです。しかし、残念ながら、大部分の日本人はそのことを知りません。
‐ ロシア市場のどこにあなたは魅力を感じているのですか?
‐ まず最初に、ロシアには大きな可能性があり、大きな国土があります。そしてあらゆる鉱物資源があります。
‐ あなたはロシアでのビジネスで、現在、何に集中していますか?
‐ 現時点では、私たちにとって最も重要なこと、それは、当然、「トヨタ」の車を売ることです。さらに、私たちはロシアで非常に多くのアルミニュームを買います。現在、これは重要な仕事になっています。
‐ 日本の企業にとって、ロシア市場のどの分野が、概して言えば、最も好条件の可能性を持っていますか?
‐ 当然、自動車と家電機器です。最近、ロシアの市場では日本の化粧品が人気になっています。しかしそれでも主要な分野は、自動車産業と家電製品です。ロシアは鉄道や一般道路を建設しています。私たちはこの分野で協力できるはずです。例えば、機械装置を納入する分野での協力です。もしここに私たちの「新幹線」(日本の高速列車)が運行すれば、それは日本にとって素晴らしいことです。
‐ 日本との協力で日本にとって何が最も利益になると思いますか?
‐ 私は、いわゆるハイテク分野での協力だと思います。私たちは、この分野でロシアと何らかの共通の指数を持てればと思っています。日本は、自分の機械技術をロシアで販売するだけを希望しているわけではありません。出来れば、貴国の技術を輸出したい気持があります。なぜなら、現在ロシアでは科学や学術研究が非常にダイナミックに発展しており、多くの外国の企業が、ロシアのハイテク分野、とりわけ、資源の加工に結びついた分野、に真剣な関心を寄せていますからです。
‐ 現在、日本には、外国からの直接投資を誘致する計画が機能しています。あなたたちは日本市場にロシアの資本を導入する可能性を検討しますか?
‐ 難しい問題です。正直言いますと、そのようになるとは自信がありません。
‐ 最近、ロシアでのビジネスの成功には汚職が直接的に関連していると頻繁に言われます。これはそうですか?
‐ そうですねぇー、そのようなセクターもあると感じます。しかし私たちの主要な仕事は自動車を売ることです。だから私たちは汚職とは何らの関係も持っていません。私たちのグループはこの事に非常に厳しく接しています。
‐ あなた達の仕事を邪魔する行政的障害はありますか?
‐ 非常に多くの要求、様々な書類ですね。さらに、規則や法律が頻繁に変わることにより事態を複雑にしています。
‐ 日本ではそうではないのですか?
‐ 日本にもやはり官僚主義はあります。しかし、それにしてもここでは非常に多くの書類が要求されます。
‐ ロシアには、日本の企業のために、ロシアの役所と協力する上で問題の解決を促進してくれる何らかの権威ある機関はありますか?
‐ 現在モスクワではJapan Clubが活動しています。そこには、165社以上という非常に多くの日本の企業が入っています。私たち企業に、ロシアとのビジネスで何らかの問題が発生すると、月に一回私たちは必ず集まり、審議し、意見交換します。時には、ロシア側からも公式機関の代表を招き、会話することもあります。これは日本の企業にとって非常に有益な組織です。一番頻繁に話される問題は、大量の種類とすぐ変わる規則のことです。ところで、Japan Clubにこのように多くの会社が入っていることは、日本のビジネスがロシア市場に定着した意向があることを物語っていると私は思います。
‐ モスクワ市長のユーリ・ルシコフは、ロ日賢人会の会長の1人になっています。このことは役立つことはありますか?彼やモスクワ市庁に嘆願することはありますか?
‐ 正直言いますと、一度も嘆願をしたことはありません。
‐ 日本のメンタリティー、特に、ビジネスエチケットにとって特徴的なことは連帯感(隊列の中でそれ以上押し合わないように片肘だけの間隔を残すこと、転じて連帯感、互助精神)があることです、ロシアの市場では、日本の企業はパートナーと感じますか、それとも競争相手と感じますか、あなたはとこの点どのように思いますか?
‐ 競争相手ですね。間違いないです。
‐ ロシア指導部の外務大臣セルゲイ・ラブロフと副首相セルゲイ・ナルイシキンが最近の訪日をどのように評価しますか?これは公式的な面談と思いますか?あるいは、私たちの関係で何か具体的な前進をもたらすと思いますか?
‐ 数年前の状況の形成のされ方に比べると、私は一定の評価をして良いと思います。未解決の領土問題があることは当然だと思います。すべての日本人はそのことを知っていますし、これはそれほど単純でないと考えています。しかしそれでも我が国の指導部は会談し何らかの問題を協議することは必要だと考えています。私は、これは良い兆しだと思っています。
‐ 長塚さん、あなたにはロシアでの生活と仕事で莫大な経験があります。5-10年後のロ日関係をあなたの目からはどのように見えますか?
‐ 速度は遅いですかもっと良くなります。私はそうなることを期待しています。