水道からコップ1つで世界の微生物が飲める?
18:1012/04/2009

 

 

ヴェラ・ポリトコフスカヤ、ロシア・ノーヴォスチ通信社、解説員。

 

 

最近の情報畑には、いやと言うほど出来事で飽和状態になっている。G20、ホドルコフシー裁判、北朝鮮のミサイル発射、「大地の時間(ロシア語でЧас земли、テレビ番組のこと)」の行動、等々、だ。この流れの中で、ある人には単に滑稽と思えるかも知れない1つのちょっと普通ではない話が紛れ込んだ。

 

モスクワ郊外のパーヴォロフスク・ポサード(商業地区)で、給水コックから、市の住民自身が(「肉ブイヨン」と渾名を付けた水が流れているが)、コックからの水と一緒に、小さなバラ色のウジ虫(回虫)が飛び跳ねているというのだ。

 

パーヴロ・ポサードの住民は、自分の浴槽でそれを目撃し、地元の衛生サービスに援助を求めた。サービス局がサンプルを取りに来て、そのあとは、最も普通のロシアのシナリオで事態は展開していった。

 

地元の衛生疫病予防サービスでは、専門鑑定の結果、水には回虫(蠕形運動あるいはその卵)はなく飲料可能と説明した。どうやら、衛生局職員にとって最も重要なことは、それが回虫であることを見逃すことで、認定さえすればその他のことは傾注に値しないどうでも良いことだったようだ。

 

しばらくしたら、さらに1つの慰めになるニュースが飛び込んで来た。モスクワ州オレホヴォ-ズエフスキー及びパーヴロヴォ-ポサード地区消費及び福祉人権保護監視連邦サービス管理局地区課々長のミハイル・セルギエフは、ばら色のウジ虫は人間の健康にとって危険ではなく、水はきれいで飲むことができると言明した。

 

「これは、一般的に言われるイトミミズだ(ラテン語表記Tubifex tubifex)で、丸い毛のふさふさしたバラ色のウジ虫で長さは最大で8cm」とセルギエフは断定した。同氏の言葉によれば、このウジ虫はきれいな水にしか生息せず、そのため、蛇口からの水は飲食に使用可能だとしている。

 

ただし、ここでは、発言された裏側で、矛盾しながら、セルギエフ自らが、このポストに付いて20年のキャリアの間で、このようなウジ虫はモスクワ郊外の各地で定期的に現れていたが、現在までこれが如何なる虫なのかそして駆除するのはどうすれば良いかはまだ誰も解明していない。

 

これで、落ち着いたことは落ち着いた。尤も、住民はとうとうこのような水を飲料水に使うリスクは取らないで、黙っている。

 

「ロスポトリェブナドゾール」では状況をコメントすることを控えた。パヴロフスク・ポサードの状況に関連する質問を聞いてから、同報道部の代表者は、「何も覚えていない」。そして、質問されていることを理解するために資料を提示する必要があると述べ、電話を切った。

 

ところで、百科事典には、「イトミミズ(Tubifex tubifex)は、バラ色をした細い糸状の回虫動物で長さは最大で80mm。腐敗粒子を食し、汚泥を呑み込み腸経由して体内に通す。多量の汚泥のある廃水タンクの底や汚染した小川や河川に生息する。極度に汚れた河川の汚泥の中に大量の群を形成するが、(少量だが)もっときれいな河川の砂や石状の土壌にも見かける」、とある。

 

パヴロフスク・ポーサダ地区だけでなく他のモスクワ郊外の都市の住民からも、すでに大分以前から、ウジ虫でなく、「腐った」あるいは「沼の」水の臭い、そしてさらに「錆」に対する苦情は来ている。

 

複数の専門家は、水道の水に回虫が入って来る問題は、腐ったパイプのためであり、きれいな水の水道の中に現れることはないと説明している。他の者は、パイプとパイプの継ぎ目が悪く接続されており、その中に何らかによって蚊が幼虫を産み、後で、それから回虫が発生し、科学的には説明が付かない方法で水の中に入り込んでいった。

 

もっと簡単かも知れない。パヴロ・ポサードの住民が考えるには、そこの水道は、「駆逐されない」クロル石灰でも殺すことができない「駆除することの不可能な」地球外の存在が現れたと思っている。水の中の回虫に対する大波のような苦情の後、公共サービス職員は専門的に水を遮断し、塩素を撒いたが、それでも回虫は現れ、市民の証言によれば、塩素を撒いたあとは細かい大きさになったとのことだ。

 

ロシアでは、肉眼で可視可能な有機物は飲料水にはあってはなかない」とする衛生基準が存在する。モスクワにせよサンクト・ペテルブルグ、パヴロフ・ポサードあるいはウリュピンスクにせよ同じだ。このような物質は飲料水にあってはならないのは住民は月々料金を支払っていりことからも尚更で、市や州政府が回虫のいる水はきれいだとの説明を期待していりのではない。

 

国の都市や村落の水道水の質については以前から論争になっていた。ある場所、とりわけ、奥深い村、あらゆる文明から遠ざかっている村、では、水の質はまだ我慢ができる。巨大都市近くに存在する小都市や村にサンプロ用のフラスコを持った専門家が集まるのが近ければ近いほど、水の質は悪くなっている。そして振り掛けるクロル石灰やその他洗浄混合剤の量が増えるだけである。

 

国家当局は、国の70%以上の住民は、質的に良い水を得ていると表明しているが、同時に、独立系研究所の専門家は、都市の水道水は質的には飲料水ではなく工業水だとの結論を出すことが頻繁である。

 

季節的な要因時期には、水の質はもっと悪くなる。頻繁に試薬と混ざる雪解けは、飲料水が取られる貯水池に病的な有機体や化学物質が流れ込んでくる。これらの時期には、微生物やバクテリアで極度に汚染された水が広い範囲の使用水に混入しないように、汚水設備の専門家たちにとっては、振り撒く塩素やその他洗浄剤の量が多くなる。

 

この問題以外に、別の問題も存在する。例えば、定期的に交換が必要な都市の水道配管の磨耗度が激しいころであるが、これは行われていない。長年、蓄積した錆の中でバクテリアは、目に見えぬほどの速さで繁殖する。そして動物プランクトオン全体を人間は水道の蛇口から1つのコップに注いで持つことになるかも知れない。

 

ほら、こんな水を我々は飲んでいるのだ。